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episode 1 ページ2

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あの人と、初めて会ったのはいつだろうか。

『いずみくん、はじめまして!!』

物心がついたばかりのような小さな頃から屈託のない眩しい笑顔を振り撒いていた。

「……よろしくおねがいします、」


あの人に、恋をしたのはいつだっただろうか。


__________



『ちょ、先輩っ!!』
「はぁ……あんた、いつになったら黙るの?」
『んっ……ぁ……、も、許して下さい……、』
「だめ、俺のこと好きになるまで許さないから。」



「……ハイカットォ!!瀬名くん、霧月さん、お疲れ様です!!」

監督の声であたりが一気に騒がしくなる。

『瀬名くん、お疲れ様。』
「……お疲れ様です、先輩。」

そして、俺の先輩であるこの人、霧月Aは全員に挨拶をしてまわっている。

『今日の演技すごかったよ〜!一瞬、演技を忘れてドキドキしてた!』

へぇ、そうですか。一瞬ですか。

今回のドラマ『先輩、好きですけど?』は、ダメ美人ニートがエリート商社に勤める学生時代の先輩と恋をする話。

そして、主演が俺と先輩というわけ。

正直言って、二人で主演をやるのは三回目だけどめちゃめちゃうれしかった。

が、先輩は俺のことを何とも思ってない。

それなのに、ビジネスキスを重ねるだけ。虚しいったらありゃしない。

「……先輩、最近彼氏はどうですか?」

だから、腹いせと言わんばかりに先輩の弱点をつく。

馬鹿馬鹿しいけど、それが俺にできる唯一の牽制だから。俺に振り向いてほしいって思ってるから。

『……痛いとこつくね、心配してくれてるくせに。やっぱりシニカル王子だね。』
「それやめてくださいよ。」

にこにこと笑って答えているけど、作り笑いがばればれ。

「そんなに、」
『え?』
「……なんでもないです。」

そんなに苦しいなら、俺にすればいいのに。

なんて、言えるわけがない。

だって、先輩が苦しむのは、先輩が彼氏のことがまだ好きだから。

『瀬名くん、私のこと好きでしょ。』

いたずらっ子のようにくすくすと笑って何度目か、数えるのも面倒くさいくらいに繰り返された質問をしてくる。

「先輩、好きですけど?」

そして、今日も決まって同じ答えを繰り返す。

この答えを先輩がどう受け取っているかなんて知らない。

ただ、貴女のことが好きだと、ひたすらに繰り返すだけ。


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アザレアを持ったねこ(プロフ) - 面白いですね!私もKnights好きです!箱推しじゃないんですけど…でもみんな好きです!良ければお友達に…|´-`)チラッ (2018年1月20日 4時) (レス) id: b01fa5b414 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御苑 | 作成日時:2018年1月18日 20時

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