弐話「花屋」 ページ2
此れまでの誕生日で、今日程不運な日はあっただろうか。
＿＿いや、無い。そう確信できるほど、今「中原中也」は不運に恵まれていた。
(何でよりによって俺が常連の花屋に此奴が居ンだよ)
ふつふつと沸き上がる怒りを抑えつつ、店員と挨拶を交わした。其の様子を、「太宰治」は微笑ましそうに見つめている。
どうしてそんなにご機嫌なのかと尋ねる前に、彼はこう呟く。
「いやぁ、遂に中也にも春が来たと思うと…彼女が準備してたチューリップ、中也の注文だろう？」
「………………そうだが」
＿＿焦るな。落ち着け。頼りにしている花屋で問題を起こす訳にも行かず、そう自分に言い聞かせる。肯定も否定もしない俺の曖昧な返事を聞いても、太宰は表情を微動だに動かさなかった。
結局此奴は、全て知っている上で、俺をおちょくっているだけだ。
此奴と居ても、俺には不利益しか無い。存在から不快さえ感じてしまう程に此の男が「きらい」だ。そうなれば俺の行動は一つ。代金を支払い、そそくさと花屋を出ようとする。
其の刹那、背後から発せられた声にふの立ち止まらざるを得なかった。
「＿＿チューリップの花言葉は、�牘扮鵑琉Ν瓠�
「……其れがどうした」
「ん？其れだけだよ」
意図的に言ったのか、ただの知識の言いふらしか……まぁ、太宰の事だから圧倒的に前者だろう。
一応意味を問おうとするが、彼奴の標的は既に店員に移っており、下らない口説き文句を吐いていた為、阿呆らしくなった俺はその儘店を出た。
「本当に、最悪な誕生日だ」
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Carol(プロフ) - 最後になりますが、丁寧な講評ありがとうございました！本当に参考になりましたし、他の作品にも活かしたいなと思います。 (2017年5月13日 11時) (
レス) id: 5bde75b3f2 (このIDを非表示/違反報告)
Carol(プロフ) - 心が温かくなった、と言って頂けるととても嬉しいです。高評価、ありがとうございます。私はしがない作者の一人ですし、見習われるような文章力も無いと思います。それに、百合姫様のコメントはどこが良かったのか、と具体的に伝わって来、感性が豊かな方だと思います。 (2017年5月13日 11時) (レス) id: 5bde75b3f2 (このIDを非表示/違反報告)
Carol(プロフ) - 百合姫さん» 此方こそ遅くなってしまいすみません。丁寧にありがとうございます。いいえ、自分の作品のどこが良いのか、どう感じられたのか知ることができ、とても参考になりました。私自身、バッドエンドが好きなのですが、この作品は後味の良い感じに仕上げようと思っていたので、 (2017年5月13日 11時) (レス) id: 5bde75b3f2 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 本当に有難う御座いました。アドバイス出来ず申し訳御座いません。私は完璧な作品だと感じました。勿論、高評価させて頂きました。長々と申し訳御座いませんでした。 (2017年5月8日 18時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - コメント、参考にならず申し訳御座いません。ですが、本当に素晴らしいと思いました。途中、何を云っているのか分からないところがあるかとは思いますが、素晴らしさに混乱しているだけです。気にしないで下さい。最後になりますが、Carol様。イベントに参加して頂き (2017年5月8日 18時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Carol | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/m1771191452/
作成日時：2017年4月29日 19時
