死が無いオカルトマニアと理事長〜死世からただいま〜

廃墟マニアのあるある ページ8

初任務は石川県の八幡町の細川廃旅館となった。いやー何が悲しくて、飽きる程行ったところにもう一度行かないといけないのか……幽霊の顔ぶれちっとも変ってないから、つまんない。

　地縛霊は、変わらず同じことの繰り返しをしているようだ。そこまでは、まだいい。自決したのに自身の死を受け入れられぬから、成仏できない状況にも同情しよう。だけど。

「ゴーストの退魔はいいんだけど！ 何で此処までいって愚痴聞かされないといけないんだよ」

　最近の若いもんは、驚かないしつまらんなどの愚痴を、わざわざ幽霊から聞かされる始末。
愚痴はメフィストだけで十分だってのに……まるで、客なのに店員の愚痴と文句を聞かされるような突っ込みたいけど、小心者だから言えずに、結局最後まで聞かせられて、心が疲弊した感じに似ている。

「いやねー。族になったのはいいんだけど？ 下っ端だったから借金をおっ被せられたんだけど、今思うとなんでこんなところで死んだかなービーチとかねぇーちゃんが居る処で、男として沈み行けば……合法で見放題なのによ！」

「バカは死んでも治らんか、はよ成仏。はやく、はよ」

　これ以上は、幽霊で在れ時間料金として500円頂戴すると、幽霊相手に金をせびると、幽霊は嫌々ながらも、お礼はキッチリいって成仏していった。これだけ楽な任務だったら、別のエクソシストにやらせればいいものを……。

「そういう訳には、まいりません。人間の霊魂の状態で見ることのできるエクソシストは、今現在じゃもう存在しません。 霊魂の状態で悪魔が憑いた、ゴーストにならなければ見ることは叶いません」

　さいですか、とりあえず。私が心配だからとこっそりつけて現れるのをやめていただきたいよ。めんどくさいし、頭が痛くなるよ。全く、ちゃんと私は寿命で死んだのだから、今回も寿命で死にますよ。

「人間はいつに死ぬか分かったもんじゃありませんからね」

　ウィンクしながら、分かってますみたいな顔でこっち向かないで、その笑顔を殴りたい。

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