死が無いオカルトマニアと理事長〜死世からただいま〜

デレ ページ5

「働かざる者食うべからず。母さんは寂しい懐を埋めるための食料を食べるために働いてよ」

　理事長室で、メフィストを……できれば朝霧に見られなくなかったけど、メ、メフィストを後ろから抱きしめて居ました。朝霧が突然に鍵を使って現れるものだから驚いて固まってしまった。

　そんな中に、絞り出した一言。

「働きたくないでござる」

　息子にその言葉を手向けるが、舌打ちとニートという暴言をお返しされるも、一家団欒を求める私はそれに腹立てることはせずに、気の抜けた返事をさらに返したが、帰って来たのは舌打ちだった。

　舌打ちはいいけど、胸の事は言わないで。

「朝霧……寂しい鉄板の事は禁句で、ぶぅ！ 何処から出したんですかそのレンチは」

　具現化、アストラル投射の上級魔術で、意識の裏にある記憶をそのまま現実に引っ張り出しているような魔法だ。だけど、集中を切らすと霧散して消える。意外と使い勝手の悪い魔法なんだ。

「意識は何らかの形で、現実に干渉してくるのを利用した魔術ですか、火葬されても蘇ることはありますね。次は土からでしょうか」

「私をゾンビにする気だな」

　この野郎！ とレンチを持った手を上にそして振り下ろさんとするも、指のなる音の後の彼の居た場所の空気を裂くだけ……避けやがった。朝霧の横に逃げたメフィストに舌打ちをかますと、本当にお母さんに似ていますよ☆と嬉しいけど喜べない一言に私の気分は急降下してゆく。

「……母さんや父さんがどう思っても、僕は二人のいい所を確かに継いでると思うよ」

　その一言に私とメフィストは、目を合わせてから数秒の間を置いて同時に朝霧の方向に顔を、その後一分も狂わない声音を、こぼすように放った。

「「朝霧がデレた」」

「父さんは分かってるけど、母さんも正直にいったらこれかよ！！」

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