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entertainment-余興-14/O ページ14

震える手で指鉄砲を作って、狙ったキメラの頭は見事なまでに粉々に砕け散った。


指から自分の持つ全部が放たれた感じがして、気がついたらキメラの頭がなくなっていた。


ビクビクと痙攣する体は血だまりの中、その動きを止めていく。


「俺が・・・やったのか・・?」


体の力が抜けて、へなへなとその場に座り込んだ俺に、ニノの声が響いた。


「リーダー!!」


「あ・・・ニノ・・・。」


呟いた俺にガバッて抱きついて、ニノはその腕に力を込めた。


よく知ってる体温が自分を包んでくれて


俺、生きてんだ・・・・。


って、心底ホッとさせてくれた・・・。


「ゴメン・・、智・・・・。」


聞きなれた声が涙声で・・・・、


俺に謝る・・・・。


「どうしたの?
なんで謝ってんの・・・?」


「だってなんにも出来なかった・・・。
襲われて傷ついたアンタ見ても、なんにもしてやれなかった・・。」


「そんなことない。
ニノはちゃんとキメラの動きを読んで、俺に指示してくれてたじゃない。」


そう笑って答えると、ニノはかぶりを振った。


「でも大野さんがやられたの見たら、頭ん中真っ白になってなんにも考えられなくなった・・・。
だから・・・ゴメン・・・。」


「ニノ・・・。」


ニノは心底悔しそうに言葉を吐き捨てる。


「クッソォ・・!!!
情けないよ・・・・!!
オレ、泣いてばっかだ!!
強くなりたい・・・・!!
自分の力にも、あんな化け物にも押し潰されないように・・・
オレ、強くなりたい・・・!!!」


震える背中をポンポン叩きながら、俺は言葉を紡ぐ。


「ニノは強いよ・・・。
きっとニノは誰よりも強くて優しいから、人の心が読めたり、思考を支配できるんだ・・・。
心が強くてブレないから、人の『思い』に関する力を、ニノは神様から授けられたんだよ・・・。」


「大野さん・・・。」


「きっとね・・・・?
今迄だってそうだったように、泣いて苦しんだ分だけニノは強くなれる。
絶対だよ、俺が保証する。」


俺の肩に頭を預けていたニノはクスクスと笑いだした。


「大野さんの保証、信用できないんですけど・・・。」


「どういう意味だよ!!」


笑い合う俺達に、むこうから小城が拍手を送っている。


その態度に胸を掻き毟られるような苛立ちを覚えて、忌々しい気分で白衣の男を睨みつけた。

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設定タグ:大野智 , 二宮和也 , 大宮   
作品ジャンル:SF
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/  
作成日時:2012年4月11日 0時

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