spiral-螺旋-17/J ページ33
立ちはだかった俺を前に、男達の驚声が響き渡る
「何だ・・・?
お前・・・潤・・・だよな?」
訝しげな男達の声をどこか不思議な思いで耳にする。
・・当り前だろ?
コイツら、俺がわかんないのかよ。
すぅっと一歩、男達に向かって歩み出れば、それ以上に彼らは怯えたように退く。
俺はさらに続ける男達の声をぼうっとした頭で聞いていた。
「・・・アイツの目、紫色だ。
聞いたか?
捕まった2人、能力を使う時にそれぞれ目の色が水色と金色に輝いてたって。」
「・・・あぁ、そうらしいな。
間違いないぞ、松本もニューチルドレンだ・・・。」
その言葉を聞きながら、そっと自分の右手を怯える連中に差し出した。
「ぐ・・・わぁぁぁっっ!!!」
一人の男が血の泡を吹いて、右手を押さえて倒れ込む。
「どうした?!」
「手が・・・!!手が・・・!!!」
そう言ってココにいる人間すべてに見せられた手は、赤黒く変色して人の手の形をなしていなかった。
指はなくなっていて、ちょうど拳を握ったようなまるい形に変形している。
「何だ?
何が起こった!!!」
「指が・・・手の中に溶け込んだようになってるぞ!!」
「・・・アイツの力か?!」
ゆらん・・と体を揺らめかせ、そう叫んだ男に視線を這わせれば、
今度はその男の髪の毛が抜け落ちて
皮膚がケロイドを起こしたように
爛れてずるむけていく。
「ヒィッ!!化け物!!!!」
男達の阿鼻叫喚がこだまする中、俺はぼんやりとその光景を見つめていた。
化け物・・・・?
俺が・・・・?
じゃあ、目の前の異様な光景は
俺が
やったのか・・・・?
そう思った瞬間
背後から首筋にチクンとした痛みが走った。
「あ・・・・・・・・。」
短い吐息が漏れた後、俺はがくんと体の力が抜けていった。
「この・・・化け物め!!!!
殺してやる!!!」
ぼんやりと霞んでいく意識の中
こめかみに当てられた金属の感触だけが
はっきりと自覚できて
俺、殺されるのかなって思った
「ヤメロ!!
ニューチルドレンだぞ?!
理化研に連れていくぞ!!
お前らも来い!!
あそこの科学者さんに治療してもらえ!!
普通の病院には行けないぞ!!」
こめかみから銃口を離され、誰かに抱きかかえられたのを最後に、
俺は意識を手放した。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時