spiral-螺旋-8/S ページ24
「相葉君!!!!」
相葉君の支えもあって塀の上まで登り切ったおれは、今度はてっぺんから相葉君に手を伸ばした。
相葉君は頷くと、少し後ろに下がって助走をつけてジャンプ一番、壁を蹴り上げて一気に駆け登る。
伸ばしたおれの手を掴むと、そのままてっぺんまでよじ登った。
「ありがとね、翔ちゃん!!」
ニッコリと笑っておれの顔を見る。
「大丈夫?・・・結構高いけど翔ちゃん怖くない?」
そう言われて無意識に下を覗くと・・・結構な高さがあって・・・
思わずクラッときてバランスを崩した。
「う…わぁっ!!」
「ちょっ…、翔ちゃん!!」
おれは相葉君に抱きすくめられると、そのまま真っ逆様に塀の上から落ちていく。
「いっ・・つつ!!
翔ちゃん、大丈夫?!」
下敷きになった相葉君が心配そうにおれの顔を覗き込んできた。
「おれの心配より・・・相葉君こそ大丈夫なの?!」
「んっ・・・、なんとか・・。
下のゴミの山がクッションになったから平気だよ。」
ニッコリとおれに微笑んだ相葉君の顔を見ていたら、なんだか鼻の奥がツンとして視界が歪んでいくのを感じた。
・・・情けない。
さっきからおれ、相葉君に迷惑かけてばっかりだ。
コレじゃ完全に足手まといじゃないか…
涙がこぼれそうになって俯いたおれの顔を、心配そうに相葉君が見つめる。
「どうしたの?翔ちゃん。
どっか痛いとこあるの?」
小首をかしげて覗き込む相葉君に、おれは涙声になるのを必死で堪えて言葉を紡いだ。
「…相葉君、おれ足手まといになっちゃう。
おれとここで別れて、相葉君だけで逃げろよ。
このままおれと一緒じゃ、相葉君も捕まっちゃう・・。」
俯いて話すおれにしばらく黙っていた相葉君は、ニッコリと微笑んだ。
「しょ〜ちゃん!!
何言ってんの!!
こうやって支え合うのは当然でしょ?
おれと翔ちゃんの間にヘンな遠慮はナシ!!」
「でも…。」
先を言おうとしたおれの言葉を相葉君が遮る。
「いいの!
翔ちゃんは作戦参謀!
どうやって逃げればいいか、オレの分も考えてよ!!
そしたらオレ、翔ちゃんの考えに沿って動くからさ。」
相葉君は微笑むとさらに言葉を続けた。
「オレ、細かいコト考えるの苦手だからさ。
そういうのは翔ちゃんがやって?
オレ達、2人で一人前だね。」
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時