spiral-螺旋-7/A ページ23
「松潤!!!」
オレが叫ぶより早く、松潤は追手の前に飛び出した。
「いたぞ!!」
「捕まえろ!!!!」
男達の怒声と足音が遠ざかっていくのが聞こえる。
「松潤・・、アイツ。」
翔ちゃんの呟きが虚しく空を舞う。
「翔ちゃん、今のうちだ。
さぁ、行こう。
アイツの気持ち、無駄にしちゃいけない。」
オレが手を差し出すと、翔ちゃんは頷いてオレ達は松潤が逃げた方向と反対に走り出した。
・
・
はぁ……はぁ………
走り出してすぐに翔ちゃんの呼吸が尋常じゃなく乱れ始める。
顔は息苦しさに歪んで、溜まった乳酸が翔ちゃんが走ることを邪魔してるみたいだ。
「翔ちゃん、頑張って!!
ここさえ上手く乗り切れば、逃げ切れるよ!!」
少し遅れ始めた翔ちゃんの手を掴んで声をかけると、力なくコクンって頷く。
路地裏にそって逃げるオレ達に、向こう側で自分達を追いかける男達の声が聞こえる。
「いたか?!」
「こっちにはいない!!
内調の連中は何やってるんだ!!」
「アイツら一体どこに行ったんだ!!」
…沢山の足音と、何人もの声。
このままじゃ捕まるのも時間の問題だ。
オレは壁で仕切られた向こう側を見つめた。
「翔ちゃん、この壁乗り越えて向こう側に出よう!!」
「へっ?どうやって?!」
コンクリートの打ちっぱなしの様な壁は、見た感じざっと3Mぐらい。
ジャンプしてもちょっと届きそうにない。
「オレが踏み台になるからさ、翔ちゃん先に昇ってよ。」
「踏み台って。
相葉君、大丈夫?
おれ、結構重いよ?」
「何言ってんの?!
オレ、女の子じゃないんだから翔ちゃん一人ぐらい支えられるよ(笑)」
四つん這いになったオレは翔ちゃんに促す。
「さぁ、早くオレに乗って!!」
「うん、ゴメン!!相葉君!!!」
翔ちゃんはオレの背中に乗ると、塀のてっぺんに手を伸ばす。
翔ちゃんの重みを背中に感じると、オレは支えている腕にぐっと力を込めた。
「う…んっ、もうちょっと!」
上手く手が届かないのか、もどかしそうな声を上げて、翔ちゃんはオレの背中でぴょんっと飛び上がった。
「やった!!手がかかった!!」
そう叫んだ翔ちゃんは壁に足をかけてよじ登る。
オレはすかさず立ち上がり、翔ちゃんを下から支えた。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時