spiral-螺旋-2/J ページ18
「アーミッシュ?
なにソレ。」
「アメリカやカナダに点在するドイツ系移民の宗教団体さ。
近代以前の生活を厳格に守り、電気や自動車、通信機器を全く使わない、農耕中心の生活をするキリスト教の一派だよ。」
「へぇ〜!!」
「光の箱舟もおんなじような感じで、電気なんかも通ってないんだ。
交通手段も馬車だし、信者が暮らす場所には機械類や電話はなかったよ。」
「教祖様とは会わなかったんだよね。」
「うん、オンエアでも言ったけど、会えなかったんだよね。
なんか、教祖は日本人じゃないみたいで信者にはカイザー・・・皇帝って言われてるんだ。」
俺は2人の話にため息交じりに割って入った。
「ねぇ、お2人さん。
今はそんな話どうでもいいだろ?
リーダー達どうなったか気にならないの?」
「気になるけどさ〜。」
相葉さんは俺にちょっとふくれっ面で話す。
「連絡の取りようがないもん。
どうしようもないじゃんか!!」
相葉さんの言葉に頷きながら、翔さんは言葉を選ぶように慎重に答えた。
「おれ、多分ニノと智君は捕まったんじゃねぇかなって思ってんだ。」
翔さんの言葉に、俺も相葉さんも冷酒を呑む手が止まった。
「もぅ〜、翔ちゃん脅かさないでよね!!」
少し笑って抗議した相葉さんを尻目に、翔さんは真剣な顔で話を続ける。
「だってさ、気がつかない?
智君からメールがあって、その後暫くしてやけに追手の数が増えたと思わないか?
ここだってアイツらやっとの思いでまいて、逃げてきた場所じゃないか。」
ぼそぼそと小さな声で囁く翔さんの言葉を、俺達は神妙に聞いた。
「じゃあ翔さんは、リーダー達が捕まったから、その分の追っ手もこっちにまわったって思ってんのかよ。」
俺の言葉に翔さんは小さく何度も頷く。
「推測に過ぎないけどな。
どこにどうやって捕まったかもわかんないし、連中の目的もわからない。
今日起こったことはわかんないことだらけで・・・・・。
・・・・・正直、お手上げだ。」
そう言った翔さんは、赤貝の刺身を口の中に放り込むと、またテレビに視線を向けた。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時