8話 ページ9
「Aー、お散歩行くよー」
きっくんの声に反応して、Aがとたとたと玄関に駆けていく。
その後ろから厚手の上着を着たFBが、A用の小さなポンチョを手に追いかけてくる。
季節はすっかり冬を目前にしていて、上着を着ないと身体が震えるほど寒くなってきている。
「Aちゃん、風邪引いたらダメだからね」
大人しくしててね、と笑うFBの言葉に頷いて、Aは大人しく上着を着せてもらっている。
頭にはボンボンのついた垂れ付きの帽子を被っている。
「はい、靴履こうね〜」
小さな足に、小さな靴を丁寧に履かせる。
はい出来た、ときっくんが笑顔で言うと、ぴょこんと立ち上がる。
瞬間。
――ぷきゅっ
可愛らしい音が聞こえた。
あたりをキョロキョロ見回しながら、Aが不思議そうな顔をしている。
一歩歩く事にぷきゅぷきゅと音が鳴るので、Aは始終首を傾げっぱなしだ。
「A、足元」
笑うあろまに指をさされ、視線を足元に落とす。
そこで足踏みをすると、そこからさっきのぷきゅぷきゅという音が聞こえてきた。
「あま!」
「Aが歩くたびに音がするなぁ」
しゃがんで目線を合わせ、靴をトントンと叩いてやると、また足踏みをする。
そのたびに音が鳴ることに気付いて、Aが楽しそうに声を上げて笑う。
靴から音が鳴るのが面白いらしく、しゃがむあろまの回りをくるくる回りながら、足元を指さし、音が鳴るよとあろまに教えている。
「A大はしゃぎだな」
「ぇおー」
ぷきゅぷきゅと音を鳴らしながらえおえおの所に駆けていくA。
えおえおはAの手を取り、楽しそうにあんよは上手と歌っている。
「おらー、お前らー、いつまでも遊んでないで公園行くぞー!」
大きなバスケットを持ったきっくんと、レジャーシートを抱えたFBが先頭に立って歩き出す。
その少し後ろを、えおえおとあろまに手を繋がれたAが、ご機嫌に靴を鳴らしながら歩いていく。
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作者名:ねい | 作成日時:2017年8月28日 22時