検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:18,563 hit

3話 ページ4

 
「おぉ、A歩くの上手になったなぁ」


テーブルに掴まって立ち上がったAが、よちよちとした足取りで、ソファに腰掛けるえおえおの側まで歩いてきた。
少し前まではふらついて、何度も転んだり尻餅をついたりしていたのに、すっかり歩くのが上手くなっている。


「そりゃあ、ちょっとずつ練習させてるからなぁ」


毎日きっくんが時間を見つけては、Aの歩行の練習をしていたらしい。
だが足取りはまだまだ覚束無い。


「A凄いなぁ」
「あいー」


えおえおの足に抱き着きながら、満面の笑顔を浮かべるAの頭をくしゃくしゃと撫でる。
よいしょ、と立ち上がると、Aの両手をとって万歳させた。


「はいA、いっちに、いっちに」


えおえおの掛け声に合わせ、Aが小さな足を一歩、また一歩と前に出す。
時折腕を引いて空中に浮かせると、Aがきゃあきゃあと楽しそうに声を上げて笑う。


「あんよは上手、あんよは上手」
「おーう、よーう」


えおえおの言葉を真似しているのか、よちよち歩きながらAも声を出す。
のんびりグルグル、2人でリビングを散歩した。


「ただいま」
「あまー!」
「おかえり、あろま」


ちょうど帰宅したあろまがリビングに顔を出すと、えおえおの手を振り払い、Aがあろまの足に抱き着いた。
あっさり振り払われた手を寂しく思いつつ、えおえおは再びソファに腰掛ける。
あろまの足にしがみついたままのAは、ぴょこぴょこ飛び跳ねながらご機嫌な様子だ。


「いい子にしてたか、A」


足を浮かせて、指でAのお腹をこしょこしょしながら聞いてくるあろまに、Aが元気よく頷いた。
そうかそうかと褒めるあろまに、満面の笑顔を向ける。


「きっくーん、今日の夕飯何ー?」
「今日ー?餃子ー」


歩こうとするあろまの足に、がしりとAがしがみつく。
あろまはAが落ちないよう、足を曲げず器用に歩きながら、キッチンで夕飯の準備をしているきっくんに声をかけた。


抱っこちゃんのようにあろまの足にしがみつくAを、えおえおがこっそり携帯のカメラに収めた。


 

4話→←2話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
設定タグ:MSSP , M.S.SProject , あろま
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ねい | 作成日時:2017年8月28日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。