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60話(side:F) ページ10

 
「お、射的」


腹ごしらえも済んで、みんなでブラブラ屋台を覗きながら歩いてると、あろまが声を上げた。


「お兄さん達どう?1回500円で10発分」


屋台のおじさんに言われて互いに顔を見合わせる。
景品として並ぶのは、子供が喜ぶような玩具から、言ってしまえばゴミになるようなものまで様々。


「お嬢ちゃんどう?ぬいぐるみとか欲しくない?」


おじさんがAちゃんに聞く。
真ん中の台から少し右に、白いクマのぬいぐるみが置いてある。
多分それをじっと見てたんだろうな、自分の指摘に反応したAちゃんを見て、相手がにやりと笑う。
これはあれか、やらざるを得ない感じかな?


「しゃあねぇな。A待ってろ」


まくる袖もないのに腕まくりする仕草をして、あろまが銃を構える。
銀の皿に乗せられた、定番のコルク栓。
狙いを定めて一発、二発。
パン、パン、と乾いた音を立てながら、狙い通りコルク栓が獲物に命中する。
でもさすがにぬいぐるみに対してコルク栓の威力が弱いのか、結局取れずに終わってしまった。
その後に続いたきっくんとえおえおのおかげで、ちょっと動いたけど、これはなかなか厳しい戦いですな。


「えふびぃ…」
「んー…。まぁ全力出してみるから」


待ってて、と不安そうな顔のAちゃんの頭を撫でる。
マスケットを持って、銃口を獲物に定める。
まず一発。クマの耳を狙って引き金を引く。
パン、という音とともに飛んでいくコルク栓が、狙い通り耳に当たる。
重さのある場所を狙うより、安定感のあまりない場所を狙った方が確実だ。
立て続けに三発、耳を狙って引き金を引くと、クマがバランスを崩す。
狙ってもう二発打ち込むと、あたりどころが良かったのか、ぐらりと大きく後退した。
残りの三発で、頭部を重点的に狙う。
そして最後の一発を眉間にぶち込めば。


「お…大当たり〜!!」


カランカランとおじさんが金を鳴らす。
その手から、Aちゃんに景品として取れたクマのぬいぐるみが手渡された。
小さなそれをぎゅうっと抱き締めて、Aちゃんがお礼を言う。
その小さな身体が、俺の首にしがみつく。


「えふびぃありがとう!」


大事にするね、とAちゃんが満面の笑みを浮かべてくれた。


 

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ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*) (2017年9月6日 10時) (レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…!続きお待ちしてます〜!頑張ってください、応援してます! (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねい | 作成日時:2017年8月21日 23時

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