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92話(side:E) ページ42

 
「はい、目ェ閉じてー」


ぎゅっと瞑った上から両手で目を押さえるAの頭に、シャワーのお湯をかける。
シャンプーで真っ白だった頭が、本来の黒さを取り戻す。
Aのツルサラヘアを守るため、コンディショナーもしっかりして終了だ。


「はい、終わり」
「んふー、おはなのにおいする!」
「ほら、湯船浸からないと身体冷えるぞ」


濡れた毛束を鼻に押し当て、匂いを嗅ぐ。
俺にとっては甘すぎる匂いも、Aはお気に入りらしく、シャンプーするたびこうやって匂いを嗅いでは、笑顔を浮かべている。
軽い身体を持ち上げて、湯船の中に。
今日はAのリクエストで、お湯が白くなる入浴剤を入れている。


「えいっ」
「うえっ」


きゃらきゃらとAが笑う。
小さな手には、そこにすっぽり収まるアヒルの水鉄砲。
コロンとした丸いフォルムで、中に水を入れて外から押すと、嘴に開いた穴から水が吹き出す仕組みになっている。
顔にかかったお湯を手で拭って、仕返しとばかりに手で水鉄砲を作る。
合わせた手のひらの中にお湯を溜めて、押しつぶすように閉じると、重ねた親指の隙間から、勢いよくお湯が飛び出す。
見事Aの顔に命中だ。


「A、タオル貸してみ」


浴槽の縁に置いてあったタオルを貰って、それを広げて湯船につける。
手を、バレーのオーバーハンドみたいな形にして、タオルの下に入れて、真ん中が膨らむように持ち上げる。
膨らんだところを潰さないように、その下を縛るようにして掴む。


「ふうせん?」
「ううん。タオルクラゲ」


しっかり膨らんだタオルのクラゲをぽよぽよ触るAの目の前で沈めると、プクプクと小さな泡を沢山出す。
それが面白いのか、両手で潰さないよう、しきりに触っている。
子供ってこういう些細な事に面白がって興味持つよな。
まぁ俺も子供の頃はこういうお風呂遊びが好きだったんだけど。


「えおえおー、Aちゃん、次俺入るー」
「きっくんだー」
「じゃあ100まで数えたら上がっていいよ」


脱衣所からかけられたきっくんの声に元気よく返事をして、Aと一緒にゆっくりと数を数え始めた。



 

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ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*) (2017年9月6日 10時) (レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…!続きお待ちしてます〜!頑張ってください、応援してます! (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねい | 作成日時:2017年8月21日 23時

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