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54話(side:A) ページ4

 
「サクランボのヘタを口の中で結べたら、キスが上手いってあったよな」


ぽつりときっくんが呟いた言葉がきっかけで、おっさん4人のサクランボのヘタ結び対決の火蓋が切って落とされた。


全員無言でモゴモゴと舌を動かし、サクランボのヘタを結ぶのに必死になっている。
ちなみにAはお昼寝中で、あの子の分のサクランボはちゃんと別にとって置いてある。

別にキスが上手い下手はどうでもいいが――いや、下手よりかは上手いに越したことは無いが――売られた喧嘩は買わねばならん。


「ん。へひは(出来た)」


べ、と舌を出したその上に、綺麗に結ばれたサクランボのヘタ。


「あろまお前それ手で結んで口ん中入れたヤツだろー!?」
「チッ。バレてたか」


種と一緒に不正したヘタを置く。
まぁ隠しもせず、堂々と手で結んで口の中放り込んだしな。
改めて、そこそこの長さのヘタを口の中に入れ、結ぶ作業に入る。


ある程度真っ直ぐなそれを、歯と舌で形を整える。
先端同士を上手く交差させ、舌先を使って出来た丸みの中へ押し込む。
多分この舌先の絶妙な動きとかが、キスが上手い云々の由来なんだろうな。
まぁある程度舌先自由に使えなきゃ、碌なキスも出来ないからな。


「ほらよ」


今度はちゃんと舌で結んだヘタを見せる。
同時にきっくんも出来たらしく、自信満々に見せてくる。
ふっふ〜ん、とか言いながら調子こいた顔してるのめっちゃ殴りたい。


「お前ら何でそんな出来んだよ!」


出来るわけねぇよ、とFBがぐにゃぐにゃに曲がったヘタを放り出す。
こういう奴が実はキスが上手いかも、と思ったが、やっぱFBはFBだな。ちょっと安心した。


「んで?えおえおは?」


1人無言で口をモゴモゴ動かしているえおえおを見れば、ペッと放り出される結ばれたヘタ。
あぁ、まぁえおえおだしな……。
納得だわ、と思ってたら、口の中からもう1個、綺麗に結ばれたヘタが出てきた。


「これ疲れる」


無言で固まる俺達をよそに、何食わぬ顔でサクランボを食い始めた。


 

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ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*) (2017年9月6日 10時) (レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…!続きお待ちしてます〜!頑張ってください、応援してます! (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねい | 作成日時:2017年8月21日 23時

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