75話(side:F) ページ25
「えふびぃ、これなぁに?」
そう言ってAちゃんが手に持っているのは、四角い小さなガラス瓶。
その中には、青と紫のキラキラした小さなお菓子が入ってる。
「それはね、金平糖って言うんだよ」
「こんぺぇとぉ?」
聞き慣れないらしい言葉に首を傾げる。
舌っ足らずに俺の言葉を繰り返すAちゃんがきゃわいい!
俺らと同じ色の金平糖入りの瓶をマジマジと見つめるAちゃん。
さて。
この金平糖はAちゃんにあげるために持ってきたお土産だけど、ご存知の通り、金平糖は砂糖菓子だ。
食べ過ぎで虫歯にでもなったら大変だし、何より最近Aちゃんにおやつの差し入れを持って来すぎだってえおえおに怒られてるんだよね。
どうやってあげようかと考えて、名案を思いついた。
「Aちゃん、これはね、背を伸ばすお薬です。
一日三粒以上食べると、えおえおのの頭が爆発します」
「えっ…」
「だから一日三粒ずつしか食べちゃいけないよ?」
約束できるかな。
と、神妙な顔で頷くAちゃんと指切りをして、その日俺は彼女の家を後にした。
「FB、話がある。すぐ来い」
ある日えおえおからそんなLINEが届いて、はて何の用だろう、と思いながらも家に行くと。
「えふびぃぃぃぃぃ!」
ぽろぽろ涙を流しながら抱き着いてきたAちゃんに、俺の思考が追いつかない。
えっ。えっ。
何でAちゃん泣いてるの?
どうしたのか聞いても嗚咽に混じって何を言ってるのか全く聞き取れないから、とりあえずAちゃんを連れてリビングに行くと。
「FB、Aに何吹き込んだ」
説明しろ、と睨むえおえおの顔には、至る所に冷えピタが貼られていた。
首から鎖骨にも冷えピタが貼ってあって、異様な光景に、俺はゴクリと息を呑む。
「急にAが泣き出したと思ったら、いきなり俺の顔に冷えピタ貼り出したんだぞ。
取ろうとしたら「お兄ちゃんが爆発する!」って大泣きして取らせてくれないんだけど」
「あのね、あのね、背が伸びるおくすりね、おいしくって、よっつたべちゃったの…」
だからお兄ちゃん爆発しちゃうって泣き出すAちゃんに、ようやく合点がいった俺の頬を冷や汗が流れる。
前にあげた金平糖の件ですね。
やばい、俺自分で言っといてすっかり忘れてた…。
「じゃあ、説明してもらおうかな」
にぃっと口元に笑みを浮かべたえおえおに、俺は目にも止まらぬ速さで土下座を繰り出した。
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ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*) (2017年9月6日 10時) (レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…!続きお待ちしてます〜!頑張ってください、応援してます! (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねい | 作成日時:2017年8月21日 23時