72話(side：Ｋ) ページ22
「きっくん、髪の毛やって…？」
服の裾をきゅっと握りながら、上目遣いの可愛い顔でAちゃんが俺におねだりをしてくれた。
今まで俺から髪の毛弄ってあげるよって言って触らせてもらってたけど、初めて、Aちゃんから、お願いを……！
あまりの感動と嬉しさに、俺は膝立ちで天を仰ぎ、サムズアップした。
「きっくん、髪の毛…」
「うん任せて、今日も可愛くしてあげるね！」
リビングではえおえおが、恨めしげな顔で俺を見ている。
しょうがない、お前は不器用さんだかなら。
靴紐もエプロンの紐も真っ直ぐに結べないから、Aちゃんの髪の毛なんか可愛くアレンジ出来ないだろ。
えおえおじゃなくて、俺を頼ってくれたAちゃんに優越感を感じながら、鏡の前に座らせる。
Aちゃんのサイドの髪を少し取って、クルクルと捻っていく。
右で2本、左も同じように2本、捩った髪の束を作る。
4本を一つに纏めて、毛先をシリコンゴムで一纏め。
ちょいちょいと指で捩った髪に余裕を持たせ、ふわっと感を出す。
背中に残った髪は、コテを使って緩いウェーブをつけていく。
全体に満遍なく癖をつけたら、手櫛で大雑把に癖を崩して、自然な感じを出す。
最後、束ねていたゴムのところに、アクセントで大きめのリボンを付けてあげると。
「簡単アレンジヘアの出来上がり〜！」
「すごい、きっくん！」
鏡越しにAちゃんが、コテで巻いた髪をしきりに触る。
普段真っ直ぐな髪を巻くだけで随分印象が変わる。
ストレートでもウェーブかかってても、Aちゃんは可愛いね。
「私、お姫さまみたい！」
うふふ、と口元に手を当てて笑うAちゃん。
すごい喜んでくれたみたいで、弄った俺も凄く嬉しい。
離れた場所でえおえおが悶えてるのは、見なかったことにしよう、うん。
「きっくん、ありがとう！」
「友達に自慢していいよ！」
素敵なお兄ちゃんに髪の毛可愛くしてもらったってね。
「いってきます！」
「「行ってらっしゃい」」
嬉しそうな顔をして学校に向かうAちゃんを、玄関でえおえおと並んで見送った。
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ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀｀*) (2017年9月6日 10時) (
レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…！続きお待ちしてます〜！頑張ってください、応援してます！ (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねい | 作成日時：2017年8月21日 23時
