84 - 本編 ページ24
【VS漏瑚4】 死の感覚
*
腹を貫かれた。
今まで体験したことのない痛みが襲う。
A
「ぁ、ああっ…!」
止まるなダメだ、急いで下がれ。
震える足にありったけの力を入れ、刺されたナイフごと退き、呪霊から距離をとる。
A
「っぅあ…!!!」
俯き、傷口を確認する。
これは貫通してるのか?してないのか?
傷口に軽く触れると手が血塗れになる。
しっかり貫通してる。
下手に抜くと出血が増えて、失血死まっしぐらだ。
A
「…クソッ!」
放り投げていた刀を拾って立ち上がる。
ボタボタと傷口から血が流れ落ちる。
A
「うぐっ…!」
クソ、ふらつく。
視界がグルグルと回って安定しない。
漏瑚
「やはり五条悟以外の術師は大した事ないな。」
「もうその怪我ではまともに動けまい。」
A
「…っは、あはは!面白いね、君。」
漏瑚
「…何がおかしい。」
A
「私に腕切り落とされてんのに随分と偉そう。」
「私にみたいな大した事ない術師に腕切られて…。」
「情けなくて、笑けてくるなァ?」
漏瑚
「…貴様、余程死に急ぎたいらしいな。」
駄目だ、もう体が動かない。
…しかも、そろそろ時間だ。
漏瑚
「!」
「…貴様の術式が解けたようだな。」
「集中が途切れたのか、時間が経過したのか…。」
「まぁ、もうよい。」
手から炎を出し、私に近付いてくる。
あー、クソ…ここで終わりか。
…まぁ、しょうがない。
*
「A。」
私の名前を呼ぶあの人。
「僕がずっとそばにいるよ。」
私をじっと見つめる、あの鮮やかな眼が、私を捉えて離さない。
「僕が守ってあげる。」
私と同じ色の眼が揺らめく。
「好きだよ、A。」
あぁ、これが走馬灯か。
*
もう一度だけ、声が聞きたい。
最後にもう一度、あのぬくもりに触れたい。
……死にたくない。
漏瑚
「死ね。」
A
「…地獄で待ってるよ、クソ野郎。」
死が直ぐそこに。
*
走馬灯に手を伸ばす。
1273人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mito | 作成日時:2021年1月17日 0時