奪い合い《赤司征十郎》

40.知ってた ページ44

「知ってたって…マジかよ」

「マジだよ」






…知ってるよ。







「いつから…」

「いつから？んー、いつからだろ？

征くんって、いいとこのお坊ちゃんだから、婚約者くらいいるかもって思ってた…最初から。

でね、この前の日曜日…大輝挙動不審だったでしょ？
あの後、チラッと後ろ見たの。

好きな人を見間違えるはずないもん。あれは征くんだった」






綺麗な女性と食事してたよね、






「確信を持ったのは今日だよ。

私…保健室での会話、ちょっと聞いちゃった…

『もう信用できねぇ…なんだよ、婚約者って…Aがいんのに』

って…

あぁ、やっぱりって思った…でもね、そのあと征くん言ってくれたじゃん。

『Aのことは好きだよ。…誰より、何より―――大切だよ』

って。
だから、征くんの彼女でいたい」





いつかは離れなきゃいけなくなるかもしれないけど、今はそんな選択できない。


自分から離れるなんてできない。






「んだよ、それ…っ」

「っ!?…んっ、んん…だ、いき…」





.







.








.







「…ずっと、お前が好きだった」

「え…？」

「幼馴染としてじゃねぇ。
女として、お前が好きなんだよ」





嘘…





「大輝…私…」

「もういいわ」





それだけ言い残して、出て行ってしまった





.









.








.







.








.








「嘘…大輝が、私を好き？」





信じられない…


じゃあ、征くんの話とか…相談とか…全部全部、無理して聞いててくれたの？






.









.








傷つけてた、無意識に。









.









.








.








.









.









幼馴染という、殻が割れた瞬間だった―――――

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