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他の星の天人が大戦に敗れ、何も無い徨安に来て、私と母を連れ去った。
徨安から少しずつ離れていく宇宙船の中で、私も母も戦っていた。
しかし、まだ幼い私は、戦場慣れしておらず、戦うのも初めてだった為、ぎこちない動き、隙の大きな動きをしていて、母のように敵を薙ぎ倒す事は出来なかった。
私は目の前の敵でいっぱいいっぱいで、後ろから来る敵の攻撃に気が付けなかった。
それが悪かった。
「A!!」
徨安から離れたせいで少し弱った母が、私を庇って傷を負った。
アルタナの力を得られなくなった母は、夜兎ではあるものの傷の治りは凄く遅く、徨安に居た頃よりも動きが遅くなっていた。
『おかあさん……!!』
ばたり。とその場に母が倒れた。
口の端からたらりと血を流す。
“お母さんがタヒんじゃう”と幼いながらに分かった私だったが、どうする事も出来なかった。
『おかあさん……やだ、やだ……おねがい………しなないでヨ……めをとじないで、おきて…。
やだ、やだヨ……おかあさん、ねぇ、めをあけてヨ…。』
少しずつ光が無くなっていく目をこちらに向けながら、母が話す。
「大丈夫……お母さんは、ここでAと…離れちゃうけど………Aが、お母さんの事を…覚えててくれる限り…………タヒなないから…。
お母さんの…私の…名前……覚えててね、A……。
私の名前は……蓮華…。」
『れんげ……おかあさん……。
……めを、あけてヨ…………。』
天人が母の前に立ち、母にトドメを刺そうと手を振り上げた。
「夜兎の女はタヒ体でも高く売れるからなァ……。
そのガキは別のところに売り飛ばしてやるよ…ヒヒッ…。」
『………ろ…。』
「あー?何だァ?」
『………ろ……めろ……ろ……。』
「はっきり喋りやがれ、クソガキ。」
『やめろっつってんだヨ、耳無いのか。』
耳を引きちぎってやった。その瞬間、体が跳ねた。
どくん、どくん、と、体の奥から何かが込み上げてくる。
自然と口角が上がるのを感じた。自分が自分じゃなかった。
気付いた時には、辺り一面血とタヒ体に溢れていた。どうやら、宇宙船は墜落したようだ。幸い、徨安に墜落したようだった。
1人母のタヒ体を抱えて、宇宙船を降りた。
泣きながら土を掘り、墓地から少し離れた所に、別に母の墓を作った。
下手な字で蓮華、と墓石に掘った。そして、その石を地面に刺した。
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めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんにちは^ - ^もしかして、なんか薬とか盛られてるのかな?続き楽しみです! (6月26日 16時) (レス) @page15 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - あ、すみません、正しくは12話、13話でした! (6月12日 17時) (レス) id: 5dbe0a5f3f (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - 初見です!終推しなので11話12話辺りで死にそうでした…。今後も更新頑張ってください! (6月12日 17時) (レス) @page14 id: 5dbe0a5f3f (このIDを非表示/違反報告)
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