11 ページ12
今日もとりあえず、昨日のように、屯所の前で傘をさしながら眠った。いつの間にか被せられていた毛布を被りながら。春とは言えど、夜は肌寒い。
深夜、ざ、ざ、と足音が聞こえたので目が覚めた。
まだ日も昇っていない。
誰だ?と、薄く目を開けてみると、黒い服を着たアフロが近付いてきた。
……あれ、確かコイツ、真選組の三番隊隊長じゃ無かったか?
警戒しながらも、気付かれないように傘を力強く掴む。
ふわ。と体が浮いた。
何をするんだ、と更に警戒を強めたが、降ろされるまでじっとしていようと思った。
このままでは身動きが取りづらいからだ。
アフロは私だけでなく、私の傘まで持っている。
暫くすると、ふわ、と自分とは違う匂いに溢れた布団に優しく降ろされた。
そして、当のアフロは、隣で別に敷かれた布団に横たわった。
何が目的だ。とは思ったが、久しぶりの布団と、それによる睡魔には勝てなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━
俺は人と話すのが苦手だ。
しかし、だからと言って人に興味が無い訳では無い。
俺は知っている。
人一倍強いAさん。
その美しさの理由を。
強い理由を。
人一倍、という努力を。
その努力の美しさを。
微笑む姿。
夜、1人でトレーニングに励む姿。
時には自分達に何かを聞く姿。
白すぎる肌に汗を流す姿は、Aさんには悪いが、どこか扇情的で、胸が跳ね上がる。
女性らしく細い体からは、どこから出るかも分からない強さを発揮し、頼もしく、それにさえもドキ、とする。
それらを見てきたから。
それを感じてきたから。
それらに惹かれたから。
俺はあんな噂になんて騙されない。
Aさんの辛そうな姿も見たくない。
でも、俺にはそれを主張できるような勇気も無い。
自分でも呆れるほどに。
だが、せめてここだけでは、安心して欲しい。
こんな事しかできない俺だけど、貴方の潔白を知っています。
だから、せめてここだけでは、安心して下さい。いつものキラキラした感じを見せて下さい。
朝、Aさんより先に起きた。
彼女の寝顔が床に反射する朝日に映えて、すごく綺麗だ。部屋に入れた自分を悔いた。正直に言うと、理性が……。
ぶんぶん、と頭を振って、穢れた思想を取り払う。
仕事だ、仕事。とりあえず、Aさんはここに寝かせておこう。
起きた時には、少しだけでも話ができればいいな。
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんにちは^ - ^もしかして、なんか薬とか盛られてるのかな?続き楽しみです! (6月26日 16時) (レス) @page15 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - あ、すみません、正しくは12話、13話でした! (6月12日 17時) (レス) id: 5dbe0a5f3f (このIDを非表示/違反報告)
シュークリーム - 初見です!終推しなので11話12話辺りで死にそうでした…。今後も更新頑張ってください! (6月12日 17時) (レス) @page14 id: 5dbe0a5f3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ