第2話 ページ5
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我らが西緋〈さいひ〉は、初代社長が立ち上げた訪問販売に始まり、今や百貨店から量販店まで販売チャネルを広げる老舗化粧品メーカーや。
濱ちゃんこと、この俺は、会社に入社してからずっとマーケティングセクションにおった。
市場調査から販売促進、商品企画、売上分析など、業務は多岐にわたる。
忙しいけど、やりがいを感じられる仕事で、なかなか思い入れもあったな〜。
まあでも、開発にマーケ経験者が欲しいって話聞いてすぐに手え挙げたけど。
今は後任のやつに、絶賛業務引き継ぎ中というわけ。
「小瀧〜。つぎ企画会議やでー」
「おん、もうこんな時間かぁ」
こいつは俺の後任となる、小瀧望。
営業から異動してきたルーキー。
業務の引き継ぎのため、ここ一週間ほど、ほとんどの行動を共にしとる。
おかげですっかり仲ようなってしまって、ニックネームで呼び合うくらい。
仕事中はなるべく出さんようにしとるけどな。
「これ、デザイン類の発注先のリストな。
WEBは晴峰堂さんが強くて、小ロットの発注ならマルガ印刷さんやな。
Jワークスさんはなんでもオールマイティにこなしてくれるとこや。今度顔合わせするで。」
WEBや紙媒体、パッケージなどの制作物デザインを発注している業者を一通り小瀧に引き継ぐ。
それぞれの担当さんには個別に挨拶に行くことになる。
「ほーん。Jワークスって“アルコイーリス”のデザインしたところなんや…
この、梁ゆりさんって、どんな人なん?」
「仕事でいうと…効率化の鬼やな。」
俺が商品企画に関わってきた基礎化粧品ブランドのひとつ、「アルコイーリス」
ボトルやパッケージ、ポスターなど、今はゆりちゃんがその仕事を引き受けてくれとる。
即効性を求められるうちらの部門で、よくこの仕事量こなしてくれとると思う。
「鬼なんや…」
「それにタフやしな。
新商品とか、スケジュールきついときあるけど、つい頼ってまうねん。」
「へー?」
「なんやねん」
「濱ちゃん、だいぶそのデザイナーさんのこと信頼してんねやーって」
「そらそやろ。ずっとタッグ組んてきてんやし。」
ぶっちゃけ、デザイナーとの相性は仕事の進み具合に関わってくることもある。
小瀧もがんばるんやで!!と喝を入れて会議室へ向かった。
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年6月9日 14時