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＿＿“西緋の濱田ですーお世話んなりますー”
「お世話になってますー」
“おはようゆりちゃん。ごめんなぁ始業前に。今ちょっとええ？”
電話は、クライアントである化粧品メーカー西緋〈さいひ〉の担当、濱田さんからだった。
「＿＿はい、はい、…あっほんとですか。
今日大丈夫ですよ。はい、かしこまりました！」
電話で話しているうちに次第に業務スイッチが入ってきた。
「淳太さん、今日午後から西緋さんに打ち合わせ行ってきますね」
「はいよ。」
「また濱ちゃんから呼び出しかいな。」
淳太さんと桐山さんのふたりは、まだお喋りに興じていたみたいで、本当に仲が良いなぁ…なんて思う。
普段は漫才やってるみたいなノリの2人だけど、仕事になると、淳太さんが私たち制作陣をまとめてくれて、桐山さんが取引先との架け橋になってくれる。
Jワークスを引っぱるふたり。
そうこうしているうちに、しげちゃんや廉くんも出社してきて、今日もいつも通りの一日が始まった。
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デザイナーは基本内勤だけど、取材や打ち合わせなどで外出もわりとある。
今は“西緋”さんのオフィスにお邪魔して打ち合わせ。
「というわけで、化粧水のイメージキャラクターが代変わりすんねん。で、今までに作ってもらってたポスターとか什器も軒並み改版になんねやんか。」
「ほおお…結構な発注数になりますねぇ」
「また照史のこと喜ばしてしまうわー」
濱田さんとは、私が西緋のクリエイティブを担当するようになってからずっと一緒に仕事をしてる。
お互い仕事のやり方も分かりきっててやりやすいし、優しいし、柔らかな物腰によく癒されていたりする。
今日も、濱田さんのざっくりとした指示をデザイン案に落とし込むと「やっぱゆりちゃんやと話はやいわー」と乗せられてしまった。
「それとな、もう一つゆりちゃんに言っとかなあかんことあって。」
「……えっ怖い怖い」
急に居住まいを直す濱田さんに身構える。
「俺担当外れんねん。」
「えっ」
「来月から、開発に異動になんねん。」
「え！？濱田さん移動しちゃうんですか」
わ、私の癒しがぁぁ(T_T)
「そのうち後任のやつと顔合わせするから。」
「後任…」
えぇぇ…濱田さんみたいに優しい人だといいけど、、
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
