指先に愛を ページ47
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その堪らなく愛しい横顔に。
その甘やかに朱に染まる耳殻に。
ゆっくりと。
頭をもたげるのは。
別の、熱。
っ、
ちりちりと、炙られるように胸の奥で火が灯る。
肌が粟立って、全身が総毛立つ。
ぶわっと広がるこの感情は。
再びドクンッと心臓が跳ねた。
やっとわかった。
身体が震えるのに熱くなる胸に宿るこれは。
あの日、初めて北山がピアノを弾く姿を見た時に、確かに何かに似ていると感じたこれは。
間違いなく。
オトコの欲だ──────・・・。
触れたい。
喰いたい。
ぐちゃぐちゃに、したい。
泣いても、嫌がっても、抗っても、押さえ付けてでも、その全てを白く染めたい。
そんな、汚ないオトコの欲望。
北山はきっと、あの日の幼い俺に謝ってくれていたのに。
なのに。
それなのに。
ああ。
謝るのは、俺の方だ────────。
ごめん。
ごめん、北山。
衝動のように動く身体を止められない。
右手は背中を這い上がって後頭部を。
左手は背骨を伝い下りて腰を。
その熱い身体をホールドした俺は、下から掬い上げるように。
その唇に
キスをした──────・・・。
びくりと肩が揺れて。
一拍おいて、身動ぐ。
恐らくは最初は何が起こったのかわからなくて固まって、理解してパニックになって身体を動かした・・・ってとこだろう。
「ちょ、っ、・・・ふじがっ、んんっ・・・」
驚いて俺を制止しようと開かれた北山の唇。
その隙を逃すはずもなく。
俺はその咥内へと舌を捩じ込んだ。
ごめん、北山。
もう離してやれない。
欲しくて欲しくて堪らないんだ。
初めて触れた唇は、甘くて柔らかくて。
キス自体は初めてでもないのに、これほどまでに心が揺さぶられるキスは経験がない。
どうしようもなく気持ちがよくて、溢れる激情を止める術がない。
奥で縮こまる北山の舌を捕らえて、絡めて舐め上げれば、ぴくりと肩が揺れた。
何処だ?
ここか?
北山の感じるところを知りたくて再度ゆっくりと舌を這わせれば、舌の裏側の奥に舌先が触れると再び肩が揺れた。
「んっ、・・・っ、・・・」
北山から声が漏れた。
その微かな声に更に煽られて、身体の中心に熱が集まっていく。
俺はキスをしたまま勢いをつけて身体を反転して、ソファに北山を沈めた。
組み敷いてみれば、その身体は華奢で。
意外のような、思った通りのような、不思議な気分になった。
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流華(プロフ) - さゆさん» さゆさん、こんにちは。コメントありがとうございます。表現と描写は、本当に気を遣っている部分なので、そこを誉めてくださると嬉しくて更に頑張ろうと思えます。活力をくださってありがとうございます。今後も頑張りますので、移行後もよろしくお願い致します。 (2021年9月17日 18時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ユキさん» あははー。良いところで狙って切る癖は、今も健在です(笑)でも、ホントにこのお話はノリとか勢いで書き始めたところがあるので、そんな感じに軽いです(笑)上質と仰っていただけること、本当に嬉しいです♪♪今後もお付き合いくださいませー♪ (2021年9月17日 17時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 言葉の遣い方がとても綺麗で、文字数が多いのに一言一句しっかりと目で追ってしまいます!本当に素敵です!移行先でも楽しみにしています! (2021年9月12日 14時) (レス) id: 4e568979a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - うわ!そこで移行ですか!!!笑 めっちゃ気になりますーー!上質なお話を読んでいたのに「面白いそー♪」って流華さんのノリの温度差に笑ってしまいました笑 続き楽しみにお待ちしてます☆ (2021年9月12日 13時) (レス) id: d4b3736ff0 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - sioriさん» sioriさーん♪♪にゃはは〜だって、狙って切ってますもん(笑)読み返してくれたんですか!?嬉しーです♪♪今回は伏線無しだから、謎とかも無いですけど楽しんでくれたら十分です♪sioriさんが読んでると気合いも入るので!!! (2021年9月12日 12時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2021年8月11日 13時