バイトはつらいよ

ニコチンバイト高本くん ページ9

高本｢ごめん、ミスしちゃって…｣

杏月｢うん、いいよ。私もミスする時あるし｣


謝るのがクセの人っていますよね。
ええそうです。私もそっちタイプです。何かと謝っちゃうよ。だから気持ちは分かるんだ。でも。でもさぁ。


高本｢ごめん、俺のせいだわ｣

杏月｢大丈夫。次から気をつければいいし｣

高本｢本当にごめん。俺がーー｣

杏月｢ああ、うん｣


同い年のバイト、高本くんは謝ることだけは一丁前なゴミクズ男だった。

高本くんは同じミスを何十回も繰り返す。いや、ミスはべつにいいんだよ。私だって要領悪いし、頭の容量も少ないし、ミスして迷惑掛けてきたよ。でも、私と高本くんは全然違う。

高本くんに、メモを取れば？と何度か言ったことがあるが、


高本｢俺はメモ取るより、そのまま頭の中に入れる派だから｣


と言っていて、ぶん殴ってやろうかと思った。さすがにできないから脳内でボコボコにした。
頭の中に入れられてねぇからメモしろっつったんだよ。私がどれだけお前のミスの処理をしてると思ってんだ。


杏月｢ちょっと私、事務所行ってくるからレジ入ってて｣

高本｢おけー｣


ある日、少々不安だが少しの間なら大丈夫だろうと売り場を高本くんに任せた時のこと。
私は、前日にクソ社員山田さんがレジの打ち間違いをしたらしく、レジ誤差が出てしまったので、その処理をどうすればいいかと事務所で確認していた。


《ーー業務連絡です。〇〇担当、杏月さん。〇〇売り場まで至急お戻りください》


解決したし戻るかと事務所を丁度出ようとしていたところ、店内放送が掛かった。至急って何事？まさかまた高本くんが何かやらかしたか？と慌てて走って売り場まで戻ると、目玉をひん剥いた。

ーーレジには高本の姿はなく、近くのサービスカウンター担当の人が代わりにレジの列を捌いてくれていた。

とりあえずサービスカウンターの人に謝ってレジを代わって貰い、お客さんを捌き切る。お客さんがいない間を見計らい、高本くんの姿を探すと、


高本｢おう。遅かったね｣


高本くんは売り場のバックヤードから裏口へと出て、外で煙草をスパーしていた。

いや、何で！？どういうこと！？レジ入ってててって言ったよな！？なぁ！？日本語理解できないの！？何人なのお前！？


杏月｢何でレジ抜けたの？お客さん並んでたんだけど…｣

高本｢は？何で俺が悪いみたいに言うの？｣


お前が悪いからだよ！！！脳天に煙草ジュって押し付けたろかお前！！！

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