StLtH19 (ページ46)

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PAST VIー４ページ46

神「親友だから、どんな手を使ってもお前を助けてあげる」

「・・・っ、」

神「・・・忘れるんでしょ？」

じんの顔が近づいてきて、ゆっくり傾く。

「やめてっ」

抵抗するも後頭部に回る彼の手に阻まれて何も出来なくなってしまう。

神「目、閉じてみな」

小さく響いたその声に、ただ全てを消したいという気持ちだけてギュッと目を瞑る。

神「・・・楽にしてあげる」

よくわからなかった。
許される行為なのか、許されない行為なのか。

私を抱きしめる腕も、

私にキスを落とすそれも、

全部、紫耀が私に与えてくれたものとは違くて。

ただ、一つだけわかったのはここには紫耀がいなくて。

私にはじんだけが残ったことだった。

紫耀を裏切ってしまうという罪悪感を私が抱えてるのを知って、彼は「裏切ったのは紫耀だよ」なんて酷いことを言った。

朝、一線を超えてしまったことに対して涙を流す私に彼は「Aのことはこの先も、俺が見てるね」って無責任なことを言う。

「ひどいよ、じん・・・」

神「うん」

「最低だよ、こんなの」

じんはただ「うん」と頷き私が彼のせいにした全てを受け入れた。

本当は私が一番最低なのに。

泣き続ける私が落ち着くまで抱き締めて、

ずっと頭を撫でて私が孤独でないことを教えてくれる。

その腕に違和感しか感じないのに。

それからじんはお気に入りの和菓子屋さんに私を連れて来てくれた。

気分は最悪なのに、

じんはひたすら優しく笑ってた。

神「Aが幸せになれるならなんでもいいんだよ」

「・・・」

神「バレエじゃなくても、Aは幸せになれるよ」

「・・・」

夢なんてなくたって。

今までのように大きなゴールを決めなくたって。

Aはただ生きて幸せになるのに値するよ、ってただ言い聞かせてきた。

神「俺は自信たっぷりで、強いAが好きだよ」

神「すぐに戻ろうとしなくていいから」

神「前を向くために必要なことがあれば、俺が何でも助けてあげる」

お願いだから、AはAでいてね。

ただただ落ち着いた声でそう伝えて、私に無理やりカキ氷を食べさせる。

神「あー、夏休み終わっちゃったね」

無邪気に笑うその姿に、

自分の心の中にある尖った部分が丸く溶かされていくみたいだった。

彼はカキ氷を食べながら泣く私を、ただ見守ってくれた。