StLtH19 (ページ36)

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ただ、俺は助けてあげられると思った。
どっちかが望むなら、助けてあげられると。

それは俺のお節介だから、今は何もしてあげられないけど、きっといつかどっちかに限界が来たら助けてあげるべきだと思った。

きっと、二人はまだ終わってない。

神宮寺の横顔を見ると、どこか諦めたような表情をしていてそれは確信に変わった。

もしもの時は、俺が助けてあげよう。

柄にもなくそんなことを思う。

神宮寺の気持ちがわかるのは、俺だって同じ気持ちになったことがあるからだ。

神「じゃーね」

顕「うん、ありがと」

丁度駅前の信号でお互いに手を振り別れたとした時だった。

これから家に帰ってAに会ったら、美勇人くんのことを含めて話を聞いてあげようと考えた。

神宮寺が居なくなって

美勇人くんに言えないような話

他に聞いてあげられるのは、俺くらいなのでは？と思った。

もちろん家族として。

珍しくそんなことを考えてしまう自分に自嘲する。

完全に気を抜いてた時だった。

キャー！と女の人の悲鳴が背中から聞こえて、咄嗟に振り向く。

車がキーッと急ブレーキを踏む音が聞こえて、その奥に人影が見えた。

顕「は？」

気づいたら、走り出していた。

ざわざわと騒がしくなる人混みを掻き分けて、そこに向かう。

小さな男の子を庇ってる、見慣れた背中。

男の子の泣く声がやけに大きく聞こえる。

目の前の景色が、歪んでいく。

咄嗟に声を上げる。

顕「神宮寺、！」

そうすると、鳴り響いた救急車の音がダイレクトに俺の耳に入ってきた。