厄介者 ページ9
…いつの間にか、沖田隊長は私の頭の中にずっと居座るようになってしまっていた。朝起きてからも、「沖田隊長を起こしに行かなきゃ」と一番に思って、彼の眠たそうな顔が頭に思い浮かんできたりして、その時も、沖田隊長の言葉が、脳裏に再生される。『好きだ』と伝えてくれた彼の声を思い出しては、一人で慌てるという朝が最近は多くて。
仕事をしている間も、食事をしている間も、眠るべく布団の中に身を休める時も、私の頭の中には沖田隊長がいた。ずっと。それからずっと考えているのだ。私が彼に向ける、沖田隊長への気持ちを。まるで、タンスの中から物を探すかのように、道端に落とし物を探すように。
けれどそれは、タンスの中を見ても道端をくまなく探してみても、見つけ出せるものではなくて。だってそれは、『好き』っていう感情なのであって、形にはならないもので。目には見えない厄介者なのである。だから、何度も何度も心の中を覗くようにして探した。けれど、未だに見つからない。
…沖田隊長が求める答えは、好きか嫌いか、だろう。
嫌い、ではない。嫌いではないと、それだけはハッキリ、胸を張って言える。沖田隊長には感謝しかないし、あるとすればクレームだろう。仕事をしてほしい、とか、サボらないでほしい、というのがソレである。それは切実な願いのため、別に嫌いになる理由にはならない。けれど、だからと言って『好きなのか』を問われると、頷けない。
「…旦那、いつの間にか好きになるって、どういう感じなんですかね?」
もし、いつの間にか好きになっていたのだとしたら、それはどうしたら気付けるものなのですか?と。
私はまるで子供が親に質問をするかのように、隣に気だるげに腰掛ける旦那に問い掛けていた。なんだか私が酷く無知な人間なような気がしてくる。すると旦那は、真顔でじぃっ、と私の顔を見つめてきて。
「…なんですか?」
私の顔に何かついてますかね?と。自分の顔を両手でペタペタと触ってみたりする。が、どうやらそういうことではないらしく、旦那は「あのさ、」と口を開く。そして表情一つ変えないまま、彼は口にする。
「お前さ、もう好きだろ」
「…はい?」
…ポロリ。真顔のまま、何を考えているのかよく分からない顔をこちらに向けながら、旦那はそう言った。それはもう、断言しているかのような響きを持っている。確かな確信を持っているような、自信があるとでも言いたげな声だ。けれどこちらとしてはまるで意味の分からない言葉に聞こえていて、彼の自信ありげな顔に眉を寄せることしか出来ない。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい!!沖田のツンデレ?感があああああああ!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん!コメントありがとうございます!!面白いですか!私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです!!引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです! (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります!テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん!ありがとうございます!一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます!!長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです!沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください!!頑張らせて頂きます!! (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年12月12日 18時