第百八話 ページ9
A「カノ……?」
カノ「A…。」
カノはその時の衝動なのか、私の手を握り、顔に近づける。
鼓動が今までにないくらいの勢いで高鳴る。
カノ「好きだよ…。」
A「ちょ…ちょっと待って!!」
カノはハッとして、表情を無にしていた顔を上げ、私の手を離した。
おそらく欺けていなかったのだろう。
カノ「いやー、ごめん。ちょっとやり過ぎたかな。」
そしてまた、いつもの笑顔に戻る。
今の心境としては、欺いているカノを見た私はかなり複雑な気持ちだった。
A「カノ…。」
カノ「ん?何?」
私は戸惑いながらも口ごもる。
A「いや…その…何というか…。」
ダメだ私。
こんないじけてちゃ人との付き合いすら出来ない。
A「…他に好きな人がいるのっ!」
カノ「…はあ。」
クロハ『…。』
カノは口ごもっていた私がいきなりばっさり言い切ったのに驚いたのか、ポカーンとしていた。
A「…ごめん!カノを傷つけるつもりはないんだけど…でもこうするしかなくて…。」
私の声はもう消え入りそうなほどボリュームが下がっていた。
A「…ごめんね」
すると、頭に何かの感触があった。
上目で見ると、カノが私の頭を撫でながら苦笑いしているのが分かった。
カノ「別にAが謝ることじゃないよ。僕は大丈夫だし、ね?」
無理しないでよ、本当は平気じゃないくせに。
カノ「いやいやー、本当だよ?Aには幸せでいて欲しいんだ。」
カノは両手を広げ、私の能力での言葉を悟ったかのように言い、部屋から出ようとする前にニコッとこう告げた。
カノ「Aにはいるでしょ?いつもAを心配してくれて、側にいる人が。」
A「___はあっ!?」
私が声を上げる前に、カノは部屋から姿を消していた。
もしかしたら、カノは最初からクロハの存在を___
クロハ「おい。」
A「わっ!お、起きてたの?!」
突然布団がばさっと剥がれ、クロハが出てくる。
クロハ「起きてるも何も、あいつが来る前から起きてたぞ。」
A「…という事は」
クロハ「___告白されてただろ、お前。」
全部、聞かれていました。
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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/
作成日時:2014年2月4日 14時