第百三話* ページ3
A「…っ!」
辺りが凍りつくような空気の朝。
刹那、誰かに呼ばれた気がして目が覚めた。
能力が無意識に発動していたせいか、その呼ばれた後の言葉がはっきりと脳裏に焼き付いていた。
"側にいてあげられなくて、ごめんな"
それを思い出した瞬間、その思いに胸が嫌という程ほど締め付けられた。
A「…気のせい、だったのかな…。」
私のその甘い思考も、ベッドの横の人物を見て消え去った。
「クロ、ハ…?」
隣では、クロハが少しながら唸っていたが、意識はうっすらとある状態で横になっていた。
その光景に思わずハッとした。
A「…クロハ!!し、しっかりして!」
クロハ「…ん……悪い、A…俺行かなきゃなんねえところが…」
クロハはふらつきながらも身をゆっくりと起こし、立ち上がろうとした。
A「なっ、何言ってるの!寝てなきゃダメだって!」
私は引き止めようとするも、心の中ではほぼパニック状態だった。
クロハ「…っ!」
すると、クロハは力が抜けてしまったのか、私に抱きつく体制で肩に顔を埋めてきた。
その熱は、額に手を当てなくても熱さが分かるほど伝わってきた。
A「高熱だ…早く冷やさないと…」
生憎、遅く起きたがゆえにキドたちは任務に行ってしまい、アジトには誰もいなかった。
対応の仕方がないので、私はもう泣きそうになって救急箱やら氷枕やらを探した。
もしこのまま熱が治らなかったら____
いや、今はそんな事を考えてはいけない。
第一にクロハの熱を手っ取り早く下げる事を考えなくては、と自分に言い聞かせた。
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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/
作成日時:2014年2月4日 14時