【カゲプロ】信じ合えば、きっと。4 (ページ16)

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第百十四話 -another- ページ16

が、次の日思ってもいない事件が起きた。

Aが起きてくるのがやけに遅いと思ったら、ベッドの上で頭痛で苦しんでいた。

きっとこれは恐らく＿＿＿

クロハ「俺の蛇の能力だな。」

A「え…ど、どうすれば…」

クロハ「まあ落ち着け。」

容易く『壊す』蛇をAの体から呼び出した。

A「わっ！」

クロハ「そいつがお前のもう一つの能力を持つ『壊す』蛇だ。」

その蛇は出てくるなり、Aを警戒するような目で見つめた。

次の瞬間、Aの指をかぷっと噛んだ。

A「いっ…！」

Aが小さく悲鳴を上げた後に、蛇を小突いた。

クロハ「まだ出たばっかだから、ちょっと警戒してるかもな。ほら、お前もそんな初対面で噛むなよ。」

すると『壊す』蛇はしばらく俺の方を見た後、するりとAに近づき、先ほど噛み付いたところに舌を出した。

A「あ…蛇ってこれ舐めれないんじゃ。」

クロハ「…だよな。俺もそう思った。」

Aが蛇と戯れていると、もう一つの蛇が姿を表した。

恐らく主のくれた、『映す』蛇だろう。

そいつは出てくるなり、『壊す』蛇に容赦無く威嚇し始めた。

A「ああ…ちょっとふた…じゃなかった、二匹とも喧嘩しないでよ。」

クロハ「…まあ、生み出した主が違うからな。仲が悪いのも仕方がない。」

ふう、と溜息をつき続けた。

クロハ「だがこいつらはちょっとだけ能力で似た特徴があるんだ。」

A「似た…特徴？」

ちらりとAは俺の方を見る。

クロハ「ああ。」

蛇達はまだ威嚇しつつあった。

クロハ「『壊す』蛇はお前の幻覚そのものを映す能力。それなりに良いものではないから、使ったら体力を奪ったりするな。」

A「た、体力？私今大丈夫なの？」

クロハ「さっきのは軽く発動してたただけだから、まあ大丈夫だろう。んで、主の『映す』蛇はそれと反対に人や自分が思ってる事が強いほど、その想像している事が背景に映し出される。」

A「つまりは…心で通じ合う、みたいな？」

クロハ「ああ。いわゆるテレパシーとかみたいなもんだ。」

Aは目を丸くして話に聞き入っていたが、ポンと手を叩いて納得したのか蛇の方を向いた。

A「そっか…そう考えるとこの子達は私の願いから出来たってわけだね。」

蛇達は訳がわからないとでも言うように、先ほどの雰囲気は消え去り、舌を出しながら返事をした。

本当に納得してるのか、Aは。