第百十三話 -another- ページ15
Aはクタクタだったため、おぶって帰り、リビングのソファーに降ろした。
クロハ「…ごめん…殴ったりなんかして。」
反省の言葉が俺の口からボソッと出た。
こんな言葉なんかで許されるはずもない。
A「…ううん、私の方こそ。」
Aの顔はなお無表情だった。
A「あんな生意気な口叩いて、クロハが許してくれるわけないよね…。」
その声がまたか細く、泣きそうなのを感じた。
ふわっとAの頭に手を置いて撫でる。
クロハ「馬鹿野郎。これ以上泣いたら体も壊れるぞ。」
Aは安堵したのか、俺の方に体を傾けた。
A「う…うん…。」
コテン、と愛しげに俺の肩に頭を乗せる。
いかん、何かが動いてしまう。
クロハ「…そういや飲み物あったんだった。」
衝動的に立ち上がり、台所に数分前用意したココアを机の上に置いた。
クロハ「ほら。」
A「…。」
クロハ「…変なものとか入ってないから。」
A「う、うん…。」
Aはカップをゆっくり手に取ると、少し息を吹きかけて覚ましながらそれを口にした。
A「…ふう……。」
クロハ「…どうだ?」
A「…おいしい。ありがと。」
崩れることのなかったAの無表情の顔は、少しばかりか微笑み混じりの表情になった。
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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/
作成日時:2014年2月4日 14時