Love*4-8 ページ8
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もぞ、と空気が微かに動くのが分かる。
身体が重たくて、腕も動かない。
ふわふわする頭に鞭打って、瞼を開けるのが精いっぱいだ。
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「、っん」
「あ、ごめん」
「しょ、く」
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声がかすれて、名前もろくに呼べない。
シーツから出ている自分の腕は、
何も身にまとっていなくて、ああ、と思うけど
布団を引き寄せる気力もない。
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「起こした？」
「ん、ん…」
「いいよ、寝てて」
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筋肉質な上半身に、
そのままシャツを頭から被って、
すぐに私の方を向く。
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「疲れたでしょ(笑)」
「どこ、いくの」
「ん〜？」
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どこ行くの、っていう私の質問に、
彼は曖昧に返事をするだけで、答えてくれない。
急に、不安になる。
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「やだ、どこいくのっ」
「、どした？…仕事だよ、撮影行ってくる」
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額にちゅ、と唇が落ちる。
私の様子に一瞬驚いたように目を見開いたけど、
すぐに優しい声で答えてくれて、気が抜けた。
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「さつえ、」
「うん、寝てていいよ」
「、ん」
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空気に触れている私の腕を、
優しくつかんで、シーツの中に戻してくれる。
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空気が揺れて、そっと彼が部屋を出ていくのが分かったけど、
うと、うととすぐにまた眠気が襲ってきて、
行ってらっしゃい、も言えなかった。
*
お昼過ぎに目が覚めて、
服を着てベッドから抜け出す。
翔くんは、何時に出て行ったんだろう、
眠気の方が勝って、時間の確認すらしなかった。
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「ご飯食べたのかな」
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朝ごはんも用意してあげなかった。
何か探して食べたかな、それとも
途中で何か買って食べたんだろうか。
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1か月半、恋人として機能してこなかった私は、
色んなものが抜け落ちている気がして、
戻さなきゃ、と思うけどあまり簡単にはいかない。
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今日は何時に帰って来るのか聞こうと思って
端末の電源を入れる。
アプリを開いたら、今日の朝早くに、先輩から返事が来ていて
慌ててそれを開く。
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"はあ？なんの話してんのお前"
"わけわからんこと言うな"
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予想通り、不愛想な返事があって、
思わず笑ってしまう。
たぶん、ずっと"知らないふり"をするだろうから、
これ以上お礼を言ってもダメだ。
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"もしかしたら人違いだったかもしれないです"
"お仕事落ち着いたら、また水の話聞かせてください"
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私の周りはいつだって、暖かくて優しい。
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