Love*4-37 ページ37
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触れていたら、甘えたくなって
手をぎゅ、と繋いで胸元に頬を寄せる。
ああ、翔くんの匂い、だいすき。
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「あ、そうだ。忘れてた」
「…ん？」
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耳元でそっと囁かれる声。
顔を上げたら、彼が優しく笑って、言った。
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「頑張ってね、ミュージカル」
「、」
「Aが認められるの、俺も嬉しい」
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頑張ってね、と言われて息が止まる。
絶対、言ってくれないと思っていた、
だって、あの時彼はとても嫌そうな顔をした。
けど、今、翔くんは優しく笑って、頑張ってね、と言う。
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「楽しみにしてる」
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その瞬間、涙がにじんで、
ぽろぽろ、と頬を伝って溺れ落ちた。
欲しかった言葉を投げかけられて、
どうしていいか分からないくらい、嬉しくなる。
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「っん、がんばる…っ、」
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あなたに、観て欲しくて、
今度こそ、観て欲しくて、私はこの話を受けた。
頑張ったね、って言って欲しいから私はまたマリーを演じる。
きっと、次は前よりもっと上手にできる。
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「ねえ、秘密、教えてあげる」
「…ひみつ？」
「そう、」
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内緒話をするみたいに、
彼が小さな声で耳元に囁いた。
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"俺、ちゃんと観たんだよ"
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みた？なにを？
と声に出して聞く前に、
ぽかんとしている私を見て笑って、
言っちゃダメだよ、と念押しした後目じりを下げて、言った。
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「Aの千秋楽、ちゃんと観たよ」
「…うそ、」
「ほんと」
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嘘だ、あの日、大千秋楽の当日券は数枚しかなかったはずだ。
誰も彼が観に来てたなんて、そんなこと言っていなかったし
噂にもなっていなかった。
あの日、観に来たと連絡があったのは光一くんくらいで…
え、うそ、でしょ？
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「…観に来いって言われた、」
「うそ…」
「劇場には入れなかったんだけど、ね」
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劇場に入らなくても、
関係者なら定点の映像を見ることができる。
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廊下にはモニターがあるし、
楽屋に置いてあるテレビからも確認できるようになってる。
きっとそれだ、と思ったけど、
詳しいことは言わない、と言われた。
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ふたりの秘密だって言って、
教えてくれない。
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「頑張ってたね、」
「…、」
「Aしか、できないと思ったよ。」
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お疲れ様、と言われて、力が抜ける。
ああ、私は。
なんて、幸せ者なんだろう。
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