Love*4-36 ページ36
.
「指輪も、つけられなくてごめんね」
.
彼が傷ついたのは確実にこれだ。
結婚、なんて突飛なワードを出したのも、
指輪からつなげて考えると納得できる。
.
もう少し待って、とお願いをする。
外では怖くてつけられない、家の中でも誰かに見られてる気がして怖い、
と言ったら、そっか、と言って彼は少しだけ笑った。
.
「…分かって、くれた？」
.
腕の中でそっと顔を上げて、
目と目を合わせて聞く。
私の言い分に、彼は納得してくれただろうか。
.
「…うん、わかった」
「、」
「ごめん、びっくりさせて」
.
私の大好きな顔で、あなたが笑う。
結婚しよう、なんて言われると思わなかった、
私が諦めていたことを、彼が真剣に考えてくれたなんて、
愛されてる証みたいでどうにかなりそうだけど、
それを手放しに喜べるほど私は純粋じゃなくて、少し苦しい。
.
「でも」
「ん？」
「できなくてもいい、は分からない」
.
私が、結婚と言うものに対して、
期待をしていないことに、彼は納得していなかった。
少し低い声でそう呟いて、私の頬をゆるり、と親指が撫でる。
.
「俺は、ちゃんとそうなりたい、って思ってるよ」
「…うん」
「Aには、ウェディングドレスを着せてあげたいし、子どもだって欲しい。
年取って、死んだあとも一緒にいたいと思ってる」
.
結婚、ってそういうことだ。
一生を伴にする、っていう、約束。
それはあまりにも壮大で漠然としていて、それでいて重い。
.
「できなくてもいい、とか叶わなくてもいい、とか。
そういう風に、諦めて考えないで、」
.
"俺が、ちゃんと幸せにするから。"
優しい声が、まるで魔法みたいにふわりと宙に舞って
私の耳に届く。
.
"幸せ"
私は、あなたと一緒にいられるだけで幸せなのに、
これ以上の幸せなんて、何があるって言うの。
.
「しあわせ、」
「…俺頑固だから、しつこいくらい言い続けるよ」
.
ぽつり、と呟いた言葉に
私が納得していないと思ったのか、む、と
少し不機嫌なトーンでそう言われた。
.
「っふふ、私も頑固だよ」
「っは(笑)そうだった、」
「勝負だね」
.
あなたの愛に私が負けるか、
私の意志にあなたが負けるか、勝負だね。
決着がつくまで、傍にいなきゃいけなから、
きっとこれからもずっと、あなたの傍にいることになる。
.
幸せ、だ。
これが、私の幸せ。
他に何もいらない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1582人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
