Love*4-19 ページ19
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「…、浩樹くん」
「うん、大丈夫？」
「私は、全然…浩樹くんこそ、」
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ごめんね、と続けた言葉に、
電話越しの彼は、俺も全然、と言って楽しそうに笑った。
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「つーかなんで俺なんだろうね？優馬でも良くない？」
「ん？…うん、それは、そうかも、」
「優馬じゃ役不足(笑)？」
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そんなの、優馬くんに失礼だよ、と笑うと
そうか？って浩樹くんはもっと笑う。
優しい。
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「本当になんもないんだから、放っておけばそのうち噂も無くなるよ」
「…うん」
「俺のことは全然気にしないで。なんも言わないし、こっちからは」
「ほんと、ごめんね…」
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時間が解決してくれるよ、って優しい声で言う優馬くんは、
ほんとうにお兄さんみたいだし、頼りになる。
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「次の舞台観に来てよ。…あ、でもしたら余計に書かれるか」
「ふふ、そうだね…しばらくは会えないね(笑)」
「えー、次の役面白いのに」
「どんな役なの？」
「ん？沈没する船の船長」
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どんな役なんだ、それ、
と思いながら全く想像ができなくて、ええ？と素っ頓狂な声が出た。
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「え、浩樹くん死んじゃうの？」
「死んじゃうの、また(笑)」
「全然幸せになんないじゃん…(笑)」
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それはお互い様だろ、と言われて
2人でクスクス笑い合う。
電話の向こうの浩樹くんが、じゃあまた、と静かな声でそう言った。
うん、またね、と言って通話を終える。
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日付を、越えた。
メッセージの着信を知らせることもない画面を
ただ眺めていたら、カチャリ、と音がして廊下とリビングをつなぐ扉が開いた。
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「、しょうくん」
「ただいま」
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喉に何かが詰まって、息ができなくなる感覚。
まだ何も喋ってないのに、泣きそうになる私の方を見ようともせずに、
風呂入ってくる、と彼はバスルームに向かった。
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追いかけられない。
だって、怒ってる。
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顔を見れば分かる、
彼のことは知りすぎているくらい、知ってる。
それくらい、長い時間一緒にいる。
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「っねぇ、」
「…なに」
「後で、時間、ちょうだい」
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震える声で私が言った言葉に、
彼は低い声で、わかった、と短く答えるだけだった。
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声を聞けば、分かる。
怒ってる、って。
だって私は、彼のことを知りすぎているくらい知ってる。
それくらい、ずっと、一緒にいる。
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