Love*3-7 ページ7
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収録を終えて、
私だけ1本取材が残っていて。
それを終えて楽屋に戻ったら、もうみんな出た後だった。
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この後は何も仕事がないから、
ゆっくり身支度をして
移動車に乗り込む。
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「なんか、」
「…」
「つかれた」
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笑うことも疲れたけど、
何より、あの空間が怖かった。
1回目の記事が出た後の収録も怖かったけど、
今日の方が、ずっと。
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明日からまた、
わたしは私じゃない人生を生きる。
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「大野さん、木曜日に行こうかな、って言ってましたよ」
「…うん」
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今日もずっと、隣にいてくれた。
リーダーは、優しい。
いつだって、私のことを見ていてくれる。
彼が″大丈夫″って言えば、本当にそうだと思えるから、不思議だ。
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「翔くんは、来ないって」
「…」
「ほんとはちょっと、期待してたんだけど」
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別れたわけじゃない。
ただ、連絡を取るのをやめる、と言われただけだ。
だから、ほんの少し、期待してた。
だけど、一瞬で、崩れた。
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「今日で、わかった。」
「、」
「観に来てくれない、ぜったい」
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それが、例え
私たちを守るためだとしても。
まだ、私が彼に我儘を言って良い立場なのだとしたら。
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「来て、ほしかったな」
「…」
「一番、観て欲しい人だったのに」
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ぽつぽつ、とつぶやく独り言に、
ハンドルを握る黒川さんは、何も、言わなかった。
*
ぽふん、とベッドに横になる。
身体がずしんと重くて、
力を抜けば、どこまでも沈んでいきそうなくらい。
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目を閉じれば、
彼が私に向けた嘘の笑顔が浮かんで消える。
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枕元に腕を伸ばして、
指先に触れた布を引っ張る。
それを胸に寄せて、ぎゅう、と抱きしめる。
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微かに香る、翔くんの匂い。
ああ、どんどん、消えていってる。
持ち出した時は、もっと、彼がいたのに。
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来てほしかった、見てほしかった。
私が、あなたの傍で、積み上げてきたものを、
あなたに一番、見てほしかった。
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うとうと、沈んでいく。
明日、起きたとき、
何もなかった世界に変わっていればいいのに。
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ぽろん、と流れた涙に気づかないふりして、
その代わりに、
パーカーを握る手に、ぎゅ、と力を込めた。
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