Love*3-48 ページ48
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「連れて来た！」
「さすが〜、優馬のでかい声初めて役に立ったわ〜」
「…ひどくない？！」
「うるっさいな、も〜」
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きゃっきゃ、と仲の良い掛け合いをしている2人を
交互に見て、もうひとりのマリー役の女優さんと笑い合う。
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「写真撮ろ！」
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優馬くんがスマホを見せて無邪気に言った言葉に、
私と撮ったら、SNSにアップできないから、面倒だよと言うと
一瞬きょとん、とした顔を見せた彼は
そんなの気にしないよ、と言って笑う。
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「思い出にするだけだから！」
「…思い出、」
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優馬くんが長い腕を伸ばしてカメラをこちらに向けて、
画面を確認しながらスマホを動かしている。
その中におさまるように、隣にの浩樹くんに少しくっついて
カメラを見て、にっこり笑った。
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"思い出"
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今までだって、大きな舞台に出て経験を積んできたこの人たちの
"思い出"に、舞台に関して全くの素人だった私が、なれたんだろうか。
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2人で撮ろう、と言って優馬くんが浩樹くんにスマホを手渡した。
彼が私の腰を抱いて、私も同じように腰に手を回す。
自然に、身についたものだ。
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「浩樹も撮る？」
「ん？ああ…うん、じゃあお願い」
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私の隣に、浩樹くんが立つ。
さっきまでのリオネルの雰囲気は、もうない。
この人も、なるべくして、なった人だ。
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「また、一緒にできたらいいね」
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と、優馬くんが言った。
"また"
それに、私も含まれてるのかな。
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そうだね、と返す。
浩樹くんも、優馬くんも
ほんとに、すごく優しいひとだ。
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頼りにしていたし、たくさん救われた。
こんな素敵な出会いを
この1回きりで終わらせてしまうのは、なんだか惜しい。
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色々なことがあった、だけど
楽しかった。
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そう言えるのはきっと、
周りの人が、優しくて穏やかで明るかったからだ。
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楽屋に帰ると、
メッセージが入っていた。
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「…光一くんだ、」
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今日も、来てくれたんだ。
なんて、優しい人だろう。
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"千秋楽おめでとう。
今日の芝居、良かったと思います。おつかれさん"
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私が立つ周りは、いつだって優しい。
泣きたくなるくらい。
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…ああ、終わった。
家に帰って、一人になって、ようやく力が抜けた。
そしたら、一気に「終わり」を感じて、泣いた。
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終わった。
主演ミュージカル、「クイーン・マリー」が、終わった。
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