Love*3-38 ページ38
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「俺よりAの方が強いし、俺なんかいなくても大丈夫でしょ。
自力でチャンス掴んで努力して拍手浴びたり、新しい友達作ったり。
俺がいなくたって、Aは笑ってるし生きていける。所詮そんなもんだろ、俺なんて」
「そんなことないっ、」
「俺だって、そんなことない。
Aがいなくて大丈夫なんて言えるほど強くないし、そんなこと考えたこともない。
…家、酷いから。帰ってきたら掃除大変だよ、A」
「そんな胸張って言うことじゃない…」
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思わず笑ったら、
彼もゆるり、と目じりを下げて
また、指で頬をなぞる。
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「俺がカメラの前で無理して笑ってるなんて、考えたこともないでしょう、」
「、」
「Aのせいだよ、俺から離れるから、」
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翔くんが、私のことを好きなのも
大事にしてくれてるのも、知ってる。
知ってるけど、いつだって私の方が好きなんだと思ってた。
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「現場でAに冷たくするの、どんだけ辛いか知らないでしょう、」
「、」
「Aのせいだよ、聞き分け良すぎるから、」
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私はちゃんと、この人の恋人だった。
分かってたけど、うれしい。
必死に耐えてきたことが、少しだけ報われた気がする。
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「他の男と仲良くすんな、あんまり。」
「…浩樹くん？」
「名前も呼ぶな、」
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眉を寄せて、そんなことを言われて。
だけど、自分でいってて可笑しくなったのか、
ふ、と笑いながら私の隣にごろん、と寝そべる。
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「しょうくん、」
「ん？」
「好きよ、」
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好きよ、あなたのことが。
聞き分けが良い、って言ったけど、そんなことない。
私はあなたに似て頑固だから、この恋を手放す気なんてない。
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「知ってる」
「…うん、」
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胸に頬を寄せるように、近づく。
大きな腕が、私のことを抱きすくめて、
喉に何かが詰まって、息ができない。
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「朝が来るまで、」
「…」
「、ううん私が眠るまでで良いから、傍にいて」
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ああ、マリーだ。
愛しい人に縋る声。
女の我儘？違う、そうじゃない。
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＿愛情表現だ、これは。
ただ穏やかに、傍にいられるだけでいい、って言う愛情表現だ。
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「おやすみ、A」
「、」
「大好きだよ、」
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唇に落ちたキスは、
もしかしたら、夢だったかもしれない。
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それくらい、暖かくて穏やかで優しい時間だった。
泣きたいくらい、幸せだった。
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