Love*3-34 ページ34
(翔side)
.
いつもと変わらない日だった。
ロケに行って、一人で雑誌の取材をこなして、家に帰る。
別に、取り立てて言うほどの何かがあるわけでもなく、
一日が終わる、はずだった。
.
電話が掛かってきたのは、
日付が変わる少し前。
普段、Aを担当している、マネージャーからだった。
.
「、もしもし」
『夜遅くにすみません、今ご自宅ですか』
「…そうだけど」
.
監視だろうか。
Aが悉く週刊誌に張られて、好き勝手書かれているから、
夜遊びしていないかの確認をするつもりなんだろうか、30も過ぎた、男に対して。
心の中で、ため息をつく。
.
『工藤さんが、体調不良で、倒れまして』
「は、」
『今病院で点滴受けてます』
.
血の気が引く、とはこのことだと思った。
倒れた？Aが？
気づいたときには車のキーを握っていて、足は玄関の方へ向いていた。
事務所とつながってる病院は1つしかない、裏から入って顔を見せれば、
きっと中に入れてくれるはずだ。
.
『待ってください、来ないでください』
「ふざけんな、帝都大病院だろ分かってんだよ」
『あと1時間ほどで点滴が終わります。工藤さんが…帰宅を希望されているので
終わり次第すぐ自宅へお送りします。今から来ても入れちがいになるだけです』
.
櫻井さん、飲まれてませんか、と言われて我に返る。
テーブルの上には、空になったビールの空き缶が数本並んでいる。
.
「タクシーで行く」
『幹部が下にいます、入るのはまず無理です』
「…じゃあなんで電話してきた」
.
その口ぶりからすると、
俺がこのことを知るのは本望じゃないらしい。
じゃあ、なんで知らせた？
恋人が倒れたら、どんな手を使っても会いに行くのが普通なのに。
.
『これから言うことは、すべて夢です』
「…は？」
『少し手間がかかりますが…できれば事務所にもバレたくないので』
.
その言葉に、ぐ、と喉が詰まる。
ただ静かにその人の言うことを聞いて、
最後に静かに了承の言葉を伝えた。
.
この人は、味方だと
直感的にそう感じた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
