志麻くんとなつやすみ。【志麻】ver.2021

気合い入れて【8月31日】 ページ36

「あっつ…」

「おはよ〜」

「はよぉ…」


いつも通り彼が先に起きていて、私は今日も昼前に起きる。

「明日から学校やのにそれでいいんかぁ〜？」

そんな彼の言葉にふと気づく。
明日から学校だ。

「………え、やばくない？」

「だいぶやばいで？」

「なんで早く言わんのよ〜！」

だいぶ絶望している私を横目にめちゃくちゃ笑っている志麻くん。
ことの重大さをあまりわかってはくれない様子。

「課題終わったんやしどっかいく？」

わかってはくれてないけど、彼は最後の最後まで私を楽しませようとしてくれる。

「行きたい！」

「じゃあ〜ここは？」

「水族館？」

「そうそう、行ったことなくない？」

「ない！行きたい！」

事前からきっと調べてくれてたであろう水族館。結構大きいところで生き物とふれあいもできるっていう素敵なところ。

「その後買い物行って家で焼肉せぇへん？あと花火！」

「えー！したいしたい！！」

「よーし決定！準備しよ〜！」

その後二人で家中を走り回りながら準備をしてなんとか出発。
車でマックを食べながら水族館へ向かう。

「なにが楽しみ？」

「ペンギン！」

「イルカのショーは？」

「見れるん？！！」

「見れるって書いてあったで」

「みたい！」

二人で生き物の話をしながら何が見たいとか何がしたいとか計画を立てる。
それだけで楽しくて移動時間はあっという間だった。



.



色んな場所を回ってイルカのショーをみて、ペンギンの餌やり体験をした。
その後二人で大きなスーパーへ行ってお肉や野菜、それからお菓子を買って家に帰ってきた。

「おも〜！」

「ただいまぁ〜」

「手洗って焼肉やろ！」

「A先手洗っといて〜買ったものしまってくる」

彼が冷蔵庫に買ったものをしまってくれている間に私は手を洗って、プレートを準備する。

冷蔵庫を異様にガサガサしてると思って見てみるとなんか大量にお酒を出している志麻くん。
運転ずっとしてくれていたから別に止めたりはしないけど、大人の特権っていいなぁって思ったり。

「…？あ、…ふはっ、」

なんか見てたら笑われた。
そして彼は続けて言う。

「大人になったら一緒に飲もな？」

私の頭をポンポンと叩く。

「子供扱いしないで！」

頬を膨らませ彼の後ろをついていく。


花火をしたり、水族館に連れて行ってもらったり、家で焼肉をしたり
そんな夏を過ごせるのは彼のおかげなんだと目の前でお酒を飲む彼の姿を見て思う。

明日からも頑張らなきゃ
線香花火が落ちる音が夏のおわりを知らせた。

Thank you→←同じ日常でも【8月31日】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す