浦島坂田船でただただ妄想を膨らませるやつ【短編集】 (ページ36)

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バレンタインafter story【坂田】ページ36

今日はさかたんが仕事に行ってから試行錯誤をしまくって特別おいしいチョコを作ったのだ。
早く帰ってこないかなと10分おきに時計を見ている。

ガチャッ

あ、帰ってきた！！

『おかえりー！』

「ただいまぁ～なんか甘いにおいする」

『そーゆーのは言わない約束でしょ！』

「ごめんてぇ」

『今年はチョコもらわなかったの？』

「めっちゃもらったけど全部後輩に渡したわ」

さかたんは毎年たくさんのチョコをもって帰ってくる。
それを毎年いろんな人に配るのも気が引けるよねって言いながら二人で食べている。
こんな精神に来るものはない。
ひどいものなんてイケないモノが入ってたものもあった。あの夜はすごかったなぁ…

じゃなくて！
今年は後輩くんにあげちゃったならこれほどうれしいことはない。
毎年自分が作ったやつよりも大量のチョコをどう消費するかで悩んでいた。今年は作るのやめようかなんて考えていたけど、作ってよかった。

「はやく食べたい！！」

目をキラキラさせながら言ってくるこの犬はかわいすぎて愛でたくなる。
容器から取り出して、さかたんの目の前に置いた。

「え！うまそ―！！！なんていうやつ？」

『ショコラルーだよ』

「わからんわぁw食べてもええ？」

『いいよ』

さかたんが口に入れると表情がめちゃくちゃ可愛くなった。
「うまぁぁぁぁぁぁ！」

『ほんと？！よかった！』

可愛すぎる…貢ごう…

「ほんまAが作るのが一番やな。今日帰れないかと思ったのは焦ったけど…」

『なんかあったの？』

「あ、いや…その…」

今日さかたんが会社であったことを話してもらうとやっぱりモテるんだなとちょっとがっかりしたし、隣にいてふさわしいのかなって不安にもなった。
それでもさかたんは

「それでも俺にはAしかおらへんわ～家帰ってこんなおいしいもの作って待っててくれるAしか好きになれへんわ。安心して俺についてきぃ」

そんな一言二言で私はさかたんの虜になってしまうのだ。
一生ついていきます。