浦島坂田船でただただ妄想を膨らませるやつ【短編集】 (ページ37)

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熱【センラ】ページ37

夕方。二人ともオフでゆっくりテレビを見ている。
センラくんは絶対に気づいてないだろうけどなんだか少しだるいというか熱っぽい。

「なーなーこの芸人さんなんて名前やっけ」

センラくんの声もなんか遠く聞こえる。

『なんだっけ』

頭も痛くなってきた。
これ完全に熱だわ。

見ていた番組が終わって次の番組に移ったが、センラくんはテレビを消して私のほうを向いた。

「ちょっと前髪あげるで」

そう言っておでこにおでこをくっつけてきた。
これはいわゆるおでここつんとかいうやつ。

「やっぱり熱いし。」

そう言って体温計を取りに行った。
私のもとへきて私をひょいと持ち上げてセンラくんの足の間に座らされた。

「はさむで」

『自分でできるよ』

「こういうのは俺がやるからええんやって」

にやにやしちゃって…

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

「38.6。あほやろこれで一日おったんかよ」

『…』

「おっと、ふらふらやん。大丈夫？」

『…ん…』

「しんどいな…ベッド連れて行こか捕まって」

『びょういんいかない』

「知ってる、いややもんな。これ以上上がらんかったら病院行くけど下がったらお家いような」

『いかない』

「うん、いかない行かない。大丈夫大丈夫」

*
**

熱があったことに気づかないでふらふらになるまで放置してしまった自分に頭を抱えるけど、今はAのことだ。

病院に行かないとぐずりだしたけどとりあえず落ち着かせて、寝かすことに成功した。

おかゆを作り終えて部屋へ向かおうとするとすすり泣く声が聞こえた。

「A？起きちゃった？」

めちゃくちゃ可愛い俺の彼女。
さっき起きたらすぐ自分がいるから寝ようといって寝かせたのにいなかったから泣いているらしい。
めっちゃくちゃかわいい。

「んーごめんごめん、泣かんのー、俺がおらんかったから悪いな、ごめんここにおるよ、大丈夫やで」

数十分慰め、泣き止ますとお腹すいたと言っておかゆを食べていた。

赤ちゃん彼女かわいいな。
『せんらくん…だっこ』

「だっこ？ねんねしてたほうが楽とちゃう？」

『やら』

「ん、やだか、おいで」

軽すぎるAの体を抱き上げると、安心したのかすやすや眠ってしまった。
さっきよりも熱が下がった感じがするし、ご飯も食べてたしこのまま寝かせておこう。

抱っこしたまま自分も布団に入った。
Aが起きたとき不安にならないように一緒に寝よう。