【東京喰種】【宇井 郡】貴方の隣にいたくて。

過去の思ひ出、君の夢と。5 ページ17

郡side



Aが持病持ち。



聞いたことないし、そんな素振りもなかった。




「え、これ言ってない？A。」




まるで、知っていること前提だったような口ぶり。



「言ってない、ね。」




なんで、私、近くにいたじゃん。



他の人たちより、近くにいたよ。




「どこまで教えていい？」




どこまでって…？そんな深刻な…？




「とりあえず、症状と対処法だけ。」



「悪化は？」




悪化…する病気。



もし悪化してしまったら…？どうなる？




「しない。だから知らなくても大丈夫。」



教えてよ、悪化した時、私はその時にどうすれば…



どうすればいいの？




「んー分かったわ。じゃ、宇井さん。今から症状と対処法だけ教えるね。」



それ、だけなんだ。



黙っておかれたからこそ、知りたい。




「全て今わかっていることを、教えてください。」



つい、口に出てしまった。



でも、もっと知りたい。



それだけじゃ足りない。




「本人の意思だから、これ以上は医者の立場だから言えないんだよなぁ…いくら幼馴染でも。」




「ごめんね、郡。知らなくていいよ、これは。知らなくても私は死なないし、対処法だけ知っといてもらえれば。」




ここで、もう一押ししてしまったら。



もう、何も教えてもらえないんじゃないか…



一つの手掛かりだけでも十分。



これ以上知れないのは、嫌だ。




「…分かりました。それだけでも…」




「よし！じゃあ説明しますね！まずこの持病は、三日前みたいに予告無しに倒れたりします。ちなみにこれ、完全には今の医療じゃ治りません。」




今の、医療じゃ治らない。



治らない…




「次、対処法。こうなってしまったら、直ちに錠剤を呑ませること。そして、僕に連絡を入れること！これだけ！簡単でしょ？」




今回は運が良かったんだよ、錠剤を呑ませるのを遅れたのに、すぐに目を覚ましたからね。



確かに危険だったけど。



そう言う有栖川先生は、よかったよかった。というふうに頷いて。



今回、運が悪かったら？



もし、私が家に押し掛けていなかったら？



どうなっていたんだろう。



考えるのは、怖い。



でも、考えないで最悪の事態になるのは、もっと怖い。

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