【東京喰種】【宇井 郡】貴方の隣にいたくて。

過去の思ひ出、君の夢と。2 ページ14

「あ、やっと起きた。」



視界に飛び込んできたのは、


真っ白な世界で主張するように漆黒を思わせる黒髪。



優しげなアメジストを思わせる瞳。



人を落ち着かせるよく通る声。



間違いない。間違えるはずがない。




「っ斗真っ…！！会いたかったっ！」




「ちょ、いきなり抱きつかないでっ、受け身取れない！」




なんて言いながら、しっかり抱きとめてくれて。



もう、有り得ないはずのいつもの光景。




あぁ、斗真がいるならきっとここは。




死後の世界。




「…私、死んだんだね。」




首元に顔をうずめて匂いを思いっきり吸う。



落ち着く…



「いや、一応まだ死んでないよ、仮死状態、ってとこかなぁ」



髪を撫でていてくれる。



まるで、私を慰めるように。



今まで良くやったね。偉かったね。というように。




「死んでない、かぁ。でも、斗真といられるならずっとこうでいいよ…もう嫌。」




「俺は反対だよ、まだAには生きていて欲しい。俺じゃない誰かと幸せになって。」




真剣な瞳。



綺麗…キラキラ光が反射してる。



奥には、優しさ、哀愁、色々なものが漂ってて。



真面目で、心配性で、優しいのに怒ると別人。



それが結城斗真。




「元々、Aと俺は産まれながら同じ景色を見れなかったんだよ？だって俺は、喰種なんだから。」




2年、一緒に居られたのが奇跡なんだから。A、喰種捜査官だしね。



と哀しげに、笑う。




「私は、喰種とか、人間とか、どうでもいいよ。一緒に居られたら。一緒に居たい。」




こんな間近に感じるのに、斗真の頬から伝わってくる温度はない。



死んでるんだなぁ…ということを再確認させられて。




「それでも、これで良かったんだよ、きっと。そのおかげで、クインケとして思いっきり隣で守れるでしょ？」




私のクインケは、斗真。


ジェットブラック。羽赫だけど、近距離の剣。


ランクはS+。


ジェットブラックの意味は、漆黒。


彼の髪色から名付けた名前。


とっても綺麗な色。髪とお揃いの色の刃。




「そうだね、きっと、斗真じゃなかったらとっくの昔に死んでた。」




「なら、良かった。役に立ってたみたいで。」




私に向けられた笑顔。



その笑みは、いつも私を安心させてくれた。



優しくて、その笑みを見ると



《もう大丈夫だ。》



って安心するんだ。



お願い、この時間よ、続け…

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