【カゲプロ】猫目の彼と猫好きの私【カノ】part３

１１９．卒業式 ページ32

未来side

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「冷たい風の中にも暖かな日差しが感じられる頃となりました。
　本日はご来賓の方々のご臨席のもと、このような素晴らしい卒業式を挙行していただき････」


ついに迎えた卒業式。

３年生一人ひとりが卒業証書を受け取り、ちらほらと目に涙を浮かべている人も出てきた。
私の隣でも、クラスメイトが目にハンカチを当てて下を向いている。

ふと、斜め後ろに座っているAを見てみると、
彼女も周りと同じように、下を向いて震えていた。

････こんなにあっさり終わっちゃうんだな。
もっともっと、Aたちと遊びたかったな。
もっとたくさんバカなことして、騒いで、思い出作りたかったな。

きっとAたちじゃなかったら、こんな寂しい気持ちになんてならなかったと思う。


未「････っ」


視界がぼやけてきて、今にも涙が溢れそうだ。
私は後で、号泣しているであろう翼を慰めなきゃいけないのに。


未「寂しいなぁ････」


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卒業式も終わり、各クラスに戻ると、
珍しく誰も口を開こうとせず、教室には鼻をすする音だけが響く。


山「それじゃ、今日でこのクラスは解散だ。
　 お前らはこの後門を出たら、もうここの生徒じゃなくなる」

静かにそう言う山田の言葉が、私の胸に突き刺さった。

それは皆も同じようで、翼をはじめ周りの泣く声がわっと大きくなる。


翼「うわあぁぁぁん！山田酷い！」

「今絶対泣かせようとしたでしょ！！」

「そうだそうだ！一人だけ余裕な顔して！」

山「しょうがないだろ！俺だって寂しいんだからな！」


今までありがとう、また会おう。
そんな言葉が飛び交う中、前に座っているAがくるっと振り返った。


貴「ねぇ未来。いいクラスに恵まれたよね」

未「････本当だね」


堪えていた涙が、ポロリと頬を伝う。
皆に出会わせてくれたこのクラスを、最高に思うよ。

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