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兄はどこまでもマイペースだった。
目の前の天才中学生と謳われる容姿端麗の少年を前に、兄は緊張も何も無いと言うのか、何の躊躇いもなしに質問をぶつけ始めた。
「まず、初めに聞きますね。今回こうして取材を受けてくれたのは何故ですか?」
「実は俺、こう見えて作家に関しては少しミーハーなんです。黒子テツヤ先生の書くミステリー小説…デビュー作から読んでいて。まぁ、ファンだったんですよ。だから、是非お会いしたいと思ったんです」
「僕の……?君のような学生にも読んでもらえていたんですね。A、聞きましたか?中学生でも僕の書くものを理解してくれる読者が、」
「後で聞くから……」
私の呆れたような声を聞き、兄は少し持ち直して更に質問を展開していく。
対する赤司くんはどの質問にも完璧に答えを返し、にこやかに兄と対談していた。
しかし何故か、兄からあまり目を離さずにいる私が時々視線をずらすと、必ずと言っていいほど赤司くんと目が合った。
その度に赤司くんはにこりと口元に微笑を浮かべる。それが何度か繰り返されるうちに、私はそちらに意識が向いてしまう。
気づけば二人の対談は終わっていて、二人が立ち上がったところで終わったことに気づき慌てて立ち上がる。
「今日はありがとうございました、赤司くん。色々と参考になりました」
「いえ…若年者の俺の言葉なんて、まだまだですよ。ですが、とても有意義な時間を過ごせました。また良ければいつでも来てください、歓迎しますから」
二人は軽く会釈を交わし、兄が部屋を出ていくのに合わせてその後に私も続く。
しかし、兄が部屋を出た後に、後ろから声が飛ぶ。
「黒子さん!……ええと、妹さんの方の」
その声に立ち止まって振り向く。それを確認した赤司くんは一歩一歩と歩み寄ってきたかと思えば、実に端正な顔立ちをぐっと私に近づけた。
「……妹さん、何て呼び方、本当はしたくなかったんですけど……まぁでも、何も知らない先生の前で、Aさんの名前を呼ぶわけにもいかないかな、なんて……どうやら正解だったみたいですね」
そっと耳打ちされたのは、おおよそそんな内容。
私には半分以上分からなかったけど、彼はそれで十分だと言わんばかりに、その顔に喜びいっぱいと言った様子の笑顔を咲かせ、ゆっくりと私の手を取った。
「お久しぶりです。ずっと……ずっと、Aさんに会いたかった」
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堕天使ルイ - なんか、ちょっと内容が分からなくなってきました。自分の理解能力の無さでw 続き楽しみにしてます。更新頑張ってください。応援してます。 (2018年3月20日 21時) (レス) id: 3344530ea6 (このIDを非表示/違反報告)
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