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やってしまった。


と、自分の病人のように白い手が、ワインレッドの高級そうな布団に沈んでいるのを見た時に愕然としながらも思った。

薄暗い部屋には、アロマディフューザーがオレンジ色の温かい明かりをともしていて、サンダルウッドの安心する香りがほのかにしている。


私の家の部屋にはアロマディフューザーはないし、香りもサンダルウッドではなく、イランイランのちょっと甘めな香りだ。布団もワインレッドではなくて、グレーがかったくすんだ水色だし、何もかも違う。



記憶を巻き返して思い返してみれば、すぐに此処がどこだかはわかった。

別にお酒を飲んだわけでもないので簡単に思い出せたその記憶は、兄さんのファンであり、天才中学生……仮にも中学生の前で、かなり取り乱している自分の姿。恥ずかしいったらない。

その中学生のお家で、突然頭痛がして、そしてあの時は辛くて辛くて何も考えられなかったが、ベッドを借りてしまったらしい。仮にも、中学生の、家の、ベッドを。




「あぁぁ……何をやってるの、私……。しかも寝ちゃうなんて。」




枕元で点滅する携帯を見れば、そこには兄さんの着信が何件か残されていた。

3件……寝てからそこまで時間が経っていないらしい。もし一晩こしていたら兄さんの着信は3件程度では済まされないだろう。それこそ、20件とか、50件とか恐怖を感じる数字になっているはずだ。

それはまだよかった。一晩こすような時間を眠っていなくて。とても迷惑をかけて恥ずかしいのは全然薄れても消えてもいないが、とりあえず最悪の事態は防いだことにほんの少しだけ安心した。



とりあえずお礼を言って帰らなければ。兄さんが確実に私の心配をして飛んできてしまう。
うぬぼれでも何でもなく、兄さんならやりかねないのだ。「A、A」と迷子の子供のように夜道を彷徨う彼の姿もリアルに思い浮かんだ。本当にありそうで怖い。


ちかちかと未だに光る携帯を手に、素早くベッドから起き上がる。


もう体調はだいぶよくなった。さすが、高級のふかふかなベッドなだけある。危うく安眠しすぎて次の日まで寝過ごすところだった。


素足になった足をぺたり、とカーペットにつけたその時だった。




「Aさん、起きましたか」



「……っ!」




音もなく、唐突に扉が開いたためびくりと肩を跳ね上げてしまった。

ドアの前には完璧な笑みを浮かべた、赤司君がにこやかに微笑んで立っていた。

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堕天使ルイ - なんか、ちょっと内容が分からなくなってきました。自分の理解能力の無さでw 続き楽しみにしてます。更新頑張ってください。応援してます。 (2018年3月20日 21時) (レス) id: 3344530ea6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠野・西谷彩香 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月23日 13時

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