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*20… ページ23

分からなくなってしまった。
私は、兄さんが苦しんでる理由を、もしかしたら赤司くんが知っているのかもしれない……なんて、一縷の望みにかけてここへ来たのに。来たはずなのに。

どうして私が、自分の過去を思い出せないことで頭痛を起こしているのだろう、と。

ガンガンと脳内でお寺の鐘が思いっきり鳴らされているかのように、反響して、周りの音が少しずつ遠のいていく。

視界がぐらぐらと揺らめき始め、立つこともままならない。

座り込んだ柔らかいソファの上で、私は頭を抱えた。



「……ぅ、ううう、」



私は知りたかっただけなんだ。兄さんが苦しんでる理由を。兄さんが苦しまなくてはいけない理由はないはずだから。

だから、兄さんに元気になって欲しくて、私は……。


その瞬間だった。

まるで雷が落ちたかのような衝撃と共に頭をよぎったのは、知らない記憶だった。


眩しい程の笑顔を浮かべた少女と、小さく微笑みを浮かべた小さな赤髪の少年が、手を繋いで歩いている___そんな、記憶。



「…………あ、れ?」



酷い既視感を覚えた。

私は……私は、彼を知っている(・・・・・・・)……?

見覚えのある気がした。

でも、それが本当に自分の記憶なのかは不確かで。


しかし___眼前の赤司くんは、まさに今一瞬見えた、「赤髪の少年」と重なって見えた。



「……わた、し、」



本当に、何かを忘れてしまっているのではないだろうか?

そんな疑問が浮かび、脳内は一気にその疑問で埋め尽くされる。



「わ、からな……わか、ない……っ!」



頭を抱えて、何かを否定するかのように必死に首を横に振った。



「Aさん、大丈夫ですか?Aさん……?」



異常な様子の私を心配するように、赤司くんは私の隣に移動して、私の背中をさすってくれた。



「俺の最初の言葉に引きずられてしまってるんですね……?あれは気にしなくて良いですから」



そう声をかけてくれる赤司くんだけれど、違う。

私の記憶を一冊の本とするのならば、殆どのページが空白で。起承転結のどれにも当てはまらない、代わり映えしない日常だけが描かれているに違いない。


私の知らない、あるはずの記憶(ページ)の何処かに、きっと兄さんを苦しめている何かがある。

私の事に敏感な兄さんは、きっと、思い出したくないその何かを夢に見ているんだ。


きっと、多分、それは私なんだ。

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堕天使ルイ - なんか、ちょっと内容が分からなくなってきました。自分の理解能力の無さでw 続き楽しみにしてます。更新頑張ってください。応援してます。 (2018年3月20日 21時) (レス) id: 3344530ea6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠野・西谷彩香 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月23日 13時

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