互いの目的 ページ5
「はあ…よいしょ…っと」
ペンギンがAに手荷物から出した上着を被せてやり背に乗せる。
「何している。 置いておけと言ったはずだ」
「船長、何でですかね。 この子を助けろって俺には聞こえるんですけどね」
「俺も…全員殺されかけたのにさ…この子をここで死なせちゃ駄目な気がする」
シャチまでもAの手を取り、柔らかい目をしてAを見つめる。
「キャプテン、いいよね？」
ベポの一押しでローが折れる事になる。
「好きにしろ。 お前らで責任持ってやれるんならな」
「「「アイアイ、キャプテン！！」」」
こうしてAは知らぬうちにローの船に運ばれていく。
きっとずっと雪の中にいた事が伺えるAの凍えた手。
海賊に囲まれても声の限りに叫んだAの必死な叫び。
「この子が誰か、船長もう知ってるんじゃないですか？」
「…まァな。 だが確信はない」
ローの記憶の隅にあったのは、コラさんが最後に海軍に連絡を取った時の事。
オペオペの実の取引について確認をした後、めずらしく他に連絡を取り継ぐよう頼んでいた。
「最後に、あの子の声を聞かせてもらえませんか」
そう言ったコラさんは寂しそうな、嬉しそうな顔をしていた。
しばらくして出てきたのは小さな女の子の声だった。
だがおかしい。
あの時の声の主がこんな子供なはずがない。
自分と同じ年頃だったのなら、２０歳を越えているはずなのだ。
ちらりと後ろを歩くペンギンの背に体を預けるAを見るロー。
あの時、コラさんとこの子供は何を話していたのかが思い出せない。
「船長？」
「…目が覚めたら俺達を襲った理由を聞き出せ」
それだけ言うとローはさっさと歩みを進めて船に乗り込んでしまった。
「キャプテン、この子すごい気になってるみたいだね」
「ベポ、船長の傍にいてやれよ。 あの様子じゃ今晩もう寝れないだろ」
「ペンギン、シャチ、この子にいたずらしちゃ駄目だよー？」
「「するかー！」」
クルーの手際のいい処置でAは凍傷も低体温症にもなる事なかった。
暖められた部屋で
温かい手に包まれて
穏やかな夢の中をふわりふわりと漂っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りらりら。@第二垢(プロフ) - ゆーじさん» うわーい！！ゆーじさんからレス来てましたーー！！！レス遅れてすみません！！汗へ、下手くそ…？この時点で私より全然うまいんですけど…？！ (2017年12月23日 22時) (
レス) id: 87b44a37e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - さやさん» だよねだよね、オーシャン書いててキリスト教の初期の挨拶キスの意味書いてて「あれ？ラブ・アゲインのラスト意味分からなくない！？」って思ってた（汗。前ある人にそれ誘われたけど「ログインしてください」って赤文字が…。さや様ならどう思うか聞きたいけど…残念。 (2017年12月19日 22時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - さやさん» 全然全然スゴい嬉しかった。こんな自分の話聞いてくれようとしてるんだって本当に嬉しかった。さや様に言ってしまいたい。会員になれなくてごめんね。コメ消さないで（照。ローはキリストスクール出だから２回のキスは誓いのキスなんだけど書かないと分からないね（汗 (2017年12月18日 22時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - さやさん» さや様コメありがとう！自分プロフ探したけどないなあ…みんなのコメの名前の横にはあるのに。うーん？会員の人だけなのかも？…過去作見直そうと言ったけど…見るのやっぱ怖ッ！！逃亡ッ！！（内容は頭に入ってる…目的が何であれ生きる為の目標を失わせない夢小説） (2017年12月18日 17時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - りらりら。さん» うおお！？りらりらちゃんのコメ発見！！これが自分の初夢小説。下手くそで直せばいいんだろうけど記念にとっといてるんだ。２ヶ月遅れのレス本当にごめんー！！自分過去作品見ないから（汗）たまには読み直して反省するのも大事だね。ありがとうね。 (2017年12月18日 17時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆーじ | 作成日時：2017年1月16日 17時
