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「お前…じゃなくて、」
「？」
「私じゃなくて、違う女の子のお陰、でしょ」
下を向いて、ぐっと唇を噛み締めた。
きっとあの後、電話してた女の子が来たんでしょ。その子に、手厚く看病してもらったんでしょ。
俯く私を前に、志麻くんが大きく息をついた。
「…ごめん。昨夜は、色々とお前を試してみた」
「ためしてみた？」
見上げてみると、苦笑している志麻くん。
「夜中に呼び出しても文句言いながらも来てくれるし、なんやかんや近くに居ってくれるから、お前も俺のこと好きでいてくれるんかなあ、って」
「…」
図星だから、何も言えない。
彼が続ける。
「だからキスしたし、スマホ絶対取りくるって思ったから、そのタイミングでセンラに頼んで女の子声で電話してもらって」
「えっ…じゃあ私、センラくんに嫉妬してたってこと！？」
センラくんはそんなに女子声が得意ではないイメージだけど…そんな声に騙されたのか、私…！
「嫉妬してくれたん？」
私の反応を聞いて、ニヤリと笑う志麻くん。
「あ、う、…うん」
返す言い訳も思いつかず、正直に頷いた。
それを見て志麻くんは、今度は優しく笑った。
「夜中に呼び出すのも、何やかんや色々頼みごとすんのも、お前だけだよ」
「…うん」
「呼んだら、すぐ来てくれるやろ？そしたら一緒に居られるし」
「…うん」
「つまりは、俺も、Aのこと、好きなんや」
「…もう」
すっかり気を緩めた私を見て、志麻くんはそっと私を抱きしめた。
昨夜の熱い身体とは違う、暖かい体温に、わたしもそっと身体を預けた。
「今度からはちゃんと、好きやから、って理由つけて、ナースコールするよ」
そしたら、来てくれるんやろ？
確信的に言う彼に、私は頷くしかなかった。
＊＊＊
「俺だけの専属ナース…ええ響きやな…
なあ、今度はナース服で看病…」
「しません」
「…デスヨネ」
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